研究実績の概要 |
本研究では①生理的流速負荷のできるBBB、BNBモデルの構築②自己免疫性神経症疾患患者の血清、末梢血単核球細胞(PBMC)を用いたmigration assay、フローサイトメトリー法による膜外移行した免疫細胞のphenotyping解析とELISA法を用いたサイトカイン、ケモカインの発現プロフィール解析③患者血清を用いた血管内皮細胞での接着因子の発現比較、バリア機能の評価、サイトカイン、ケモカインの発現プロフィール解析の3つの研究計画を平成28,29年の二年間で行う計画である。 まず、当研究室では世界に先駆けての高度に細胞特性を保持したヒト由来BBB構成不死化細胞株(血管内皮細胞株:EC、ペリサイト株:PCT、アストロサイト株:AST)の樹立と、炎症細胞浸潤の解析が可能な流速負荷型EC/AST共培養in vitro BBB モデルの開発に成功し、ASTがECのバリア機能や炎症細胞浸潤を調節していることを報告した(Y. Sano, et al., J Cell Physiol 2010, H. Haruki, et al., J Neurol Sci 2013, F. Shimizu, et al., Neurobiol Aging 2013, Y. Takeshita, , et al., J Neurosci Methods 2014)。 つぎに、樹立したEC株とAST株を用いた炎症細胞浸潤の解析が可能な流速負荷型EC/AST共培養in vitro BBB モデルを作製し、代表的な自己免疫性神経症疾患である視神経脊髄炎患者からのIgGをこのモデルに作用させたところ、ASTからIL-6の分泌が促進され、内皮細胞においてケモカインCCL2,CXCL8が分泌され、PBMCの中枢神経内への流入を促進することが明らかとなった。
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