研究課題
最終年度も前年度と同様に、Cell based assayの確立に時間を要し、依然として完成に至らなかった。ラット免疫組織染色による自己免疫性自律神経節障害の未知の抗体スクリーニングについては、マウス頸部交感神経節の切離技術を獲得し、現在は既製品抗体による免疫染色を行っている。しかしながら抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体の臨床像の解析は継続して行っており、その中で本邦において上部消化管障害としてアカラシア、下部消化管障害として麻痺性イレウス、慢性偽性腸閉塞症などの重篤な消化管運動障害を来す症例があることがわかってきた。米国では自己免疫性消化管運動障害として2008年に提唱された概念であり、抗体介在性の自己免疫疾患である。抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体も含まれる。これを踏まえ、消化器内科医師と協力体制を築き、本邦における自己免疫性消化管運動障害の調査に乗り出した。食道アカラシア症例、慢性偽性腸閉塞症症例の臨床評価を行い、血清を収集して抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体測定を行ったところ、アカラシアでは21.4%、慢性偽性腸閉塞症では50%が本抗体陽性であった。自己免疫性消化管運動障害は自律神経障害を併せ持つことが知られているが、我々が調査した食道アカラシアと慢性偽性腸閉塞症の症例も多くは自律神経障害を有することが判明した。これは自己免疫性消化管運動障害と抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体に関する本邦における初めての研究であり、これをJournal of Gastroenterology誌に論文として報告し、国内の複数の学会で発表した。第28回日本神経免疫学会学術集会ではYoung neuroimmunologist Awardを受賞した。
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