研究課題
遺伝性トランスサイレチン(transthyretin: TTR)アミロイドーシスおよび野生型TTRアミロイドーシスはいずれもTTRを前駆タンパクとする致死的な全身性アミロイドーシスである.両疾患において細胞外マトリックスに沈着したアミロイド線維が如何にして細胞機能障害を引き起こすのかは,詳細な病態は未だ解明されていない.本研究では,TTRアミロイド線維が,イオンチャネルが豊富に存在する末梢神経,心筋,平滑筋組織に顕著に沈着することから,本症におけるイオンチャネルの形態的,機能的変化を明らかにすることを目的に解析を行った.遺伝性TTRアミロイドーシス患者およびコントロール患者の剖検心筋の病理学的解析により,TTRアミロイド沈着が病初期よりイオンチャネルが豊富に存在する横細管組織を中心に沈着し,末期には心筋横細管全体を充填することが示された.またTTRアミロイド沈着量とカルシウムチャネル量の減少が相関することが明らかとなった.さらに,電子顕微鏡観察によりカルシウムイオンチャネル量の減少と関連して心筋細胞内のミトコンドリアの量的,形態変化が認められた.心筋培養細胞系および蛍光カルシウムイオンプローブを用いた解析により,非アミロイド性TTR凝集体およびTTRアミロイド線維がカルシウムイオンチャネル機能を障害する可能性が示された.細胞外マトリックスのTTRアミロイド線維によるイオンチャネル障害がTTRアミロイドーシスの細胞障害,臓器障害において重要な病態であることが示唆された.
すべて 2017
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