研究課題
今年度我々は家族性ALSの原因遺伝子であるFused in Sarcoma(FUS)のショウジョウバエホモログであるCabeza(Caz)のノックダウンモデルと家族性ALSの危険因子でありCharcot-Marie-Tooth(CMT)病の原因遺伝子であるFactor-induced-Gene4(FIG4)のショウジョウバエホモログであるdFIG4のノックダウンモデルを用いて、複数のALSの病態に関わる因子に共通して作用する遺伝子を探索しALSの病因に関わる共通経路を見出すことを目的とした。(1) ALSの危険因子であり、CMTの原因遺伝子であるFIG4のショウジョウバエホモログdFIG4のノックダウンモデルを我々は樹立している(Exp Neurol. 2016 Mar;277:86-95)。引き続き行っている遺伝学的スクリーニングから、dFIG4モデルの表現型を修飾する新たな遺伝子としてHippo (hpo) (ヒトホモログMST)を同定した。HpoはdFIG4モデルで認められる運動障害、神経変性、リソソームの拡大などの表現型を改善することを明らかにし報告した。(2) Cazのloss-of-functionモデルで観察される成虫複眼の形態異常を指標とした遺伝学的スクリーニングから、Cazと相互作用する新たな遺伝子hpoを同定した。我々の結果では、hpoの機能を低下させるとcazの機能喪失によって引き起こされる複眼の形態異常、運動能力低下、神経筋接合部におけるsynaptic branch及びsynaptic boutonの減少が改善した。さらに、hpoの機能を低下させることにより、核内で低下したCazが、再び核内で部分的に機能していることを免疫組織学的及びタンパク化学的分析により明らかにした。他結果を合わせALSの病因に関わる重要な共通分子としてMSTを見出し報告した。
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