研究課題
ミクログリア除去システムを確立、利用し、培養アストログリアにおける新しい知見をもたらし、脳梗塞治療法の開発に繋げることを目標に研究を遂行した。通常に作成される培養アストログリアには10%程度のミクログリアの混在が知られている。そこで、Pont-Lezica L et al., 2013を参考にAra-C投与と高濃度ロイシンメチルエステル(LME)(50~70mM)で短時間(60~90分)処理してミクログリアのみを特異的に除去し、また免疫染色などにより細胞数が1%未満に除去されていることを確認した。当研究室においてAra-C/LMEを利用したミクログリア除去システムを確立した。ミクログリアを除去した培養アストログリアではリポポリサッカリド(LPS)誘導性活性酸素種(ROS)産生は観察されないが、グルタチオン阻害後ではLPS誘導性ROS産生が観察され、アストログリアはLPSに反応しROS産生をもたらすが高い除去活性能により細胞内で消去されることを明らかにした。LPS刺激によりミクログリアが混在する培養アストログリアで観察されたペントースリン酸経路(PPP)活性化について、ミクログリア除去後の培養アストログリアではLPS刺激によるPPP活性化が観察されないこととの比較などから、ミクログリア由来のLPS誘導性一酸化窒素(NO)がアストログリアのPPPをNrf2/Keap1システムを介して活性化している可能性を明らかにした。またNrf2活性化物質であるスルフォラファンを投与しアストログリアのNrf2を活性化することでミクログリア由来のLPS誘導性ROS/NO産生は消去されることを明らかにした。上記のようにアストログリアの抗酸化作用を明らかにし、アストログリアは脳梗塞急性期においてanti-inflammatory作用を有し脳保護的に働く可能性があることを明らかにした。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Neuroinflammation
巻: 13 ページ: -
10.1186/s12974-016-0564-0