研究課題/領域番号 |
16K19527
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
竹田 安孝 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (90431402)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | GIP (1-30) / ELISA / 糖代謝 |
研究実績の概要 |
‘short-form’GIPであるGIP (1-30)が新たなインクレチンとして注目されているが,測定系は確立されておらず,その分泌動態は明らかではない。本研究では,GIP (1-30)に高い特異性を有するELISA法での測定系を確立し,糖代謝における生理的なGIP (1-30)の分泌動態および糖尿病における分泌異常の有無を探求することを目的とする。 GIP (1-30)に特異性の高いELISA法を構築する上で,既存のGIP (1-42)のN末端を認識する抗体に加え,新たにGIP (1-30)のC末端を特異的に認識する抗体を作成し,これら2種の抗体によるサンドイッチ法による特異的ELISA測定系を作成する方針とした。 GIP (1-30)のC末端ペプチドとして,GIP (24-30)ペプチド(8mer,CNWLLAQK-NH2, MW 974.2)を合成した。ウシサイログロブリンをキャリア蛋白としてGIP (24-30)をBDF1マウス,BALB/cマウス,Wister Ratに免疫を行い,いずれにおいても抗原固相ELISAにて抗体価上昇が確認され,最終免疫,細胞融合に進んだが,スクリーニングアッセイにおいてWister RatにおいてのみGIP (1-30)amideのN末端特異的抗体をクローニングした。 最終的に2種の特異抗体を樹立し,同クローン由来IgGを用いたサンドイッチELISAを構築した。GIP (1-30) amideを用いた検討において,用量依存性のGIP (1-30)を検出した一方,GIP(1-42)に対する交差性は0.1%以下であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,GIP (24-30)を固相化抗体,GIP (1-30)N末端を二次抗体としたELISA系を確立し,ヒト血液検体を用いたGIP (1-30)測定を行っている。これまでのところ,糖負荷後におけるGIP (1-30)の増加を確認しており,インクレチンとして矛盾しない分泌動態であることが示唆されている。一方,サンプル間での差異や非特異的反応が認められているが,病態間での差異や,非特異的吸着の可能性等に注目し,最適なGIP (1-30)の検出感度が得られる環境についてヒト検体による検証を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
最適なGIP (1-30)の検出感度が得られる環境設定について検証した後,正常耐糖能者および2型糖尿病症例において糖負荷試験,食事負荷試験,クッキーミール負荷試験を行い,GIP (1-30)の血中濃度を測定,分泌動態を比較・検証する。さらに既存のイムノアッセイ法(RIA,ELISA),バイオアッセイ法との差異を検証する。インスリン分泌指標やβ細胞機能の指標,インスリン感受性指標とGIP (1-30)の分泌動態との関連を検証し,糖代謝におけるGIP (1-30)の位置づけを明らかにする。 ヒトにおける検討に加え,GIP (1-30)の生理的な分泌刺激因子,分泌抑制因子について,培養細胞や単離膵島を用いて各種アミノ酸,脂肪酸,胆汁酸,膵・消化管ホルモン等による分泌動態の変化を検証する。これらを明らかにした後,糖尿病状態における分泌調節異常の有無について重ねて検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部で他の研究費を用いたことによる。 また結果として物品の購入額が減ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
一般生化学試薬,分子生物学的実験試薬,抗体ならびに細胞培養試薬,培養器具等の購入,また実験動物の購入および飼育費に充てる予定である。
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