研究課題/領域番号 |
16K19530
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石川 崇広 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00749426)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糖尿病腎症 / ポドサイト / TGF-β |
研究実績の概要 |
本研究計画の目的は、我々が同定したポドサイト特異的遺伝子かつTGF-βシグナル抑制因子であるR3hdmlの機能解明を通して、R3hdmlのポドサイト特異的なp38MAPKシグナル抑制機構の詳細なメカニズムを明らかとし、最終的にDNに対する新たな治療法の開発のための研究基盤を確立することにある。具体的に計画立案し、遂行に移している研究項目を以下に示す。 1)R3hdmlのp38MAPKリン酸化抑制機構の詳細なメカニズムの検討 2)R3hdmlのプロモーター解析を通した、TGF-β以外のR3hdml発現現調節因子の解明 3)R3hdml過剰発現モデルの作成および糖尿病状態におけるR3hdmlの腎保護効果の検証 このうち1)に関しては、計画を遂行するために新たなR3hdml抗体の作成が必要となり、本年度に作成を実施した。2)に関しては、当初計画していたデータベースでは期待した結果を取得することができず、現在新たな方法を含めて検討を継続中である。3)については、いくつかの手技的な障害があったものの工夫により解決され、実験に必要なマテリアルも完成しており、現在鋭意検討を継続している状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体として、当初の計画からいくつかの修正を要する部門を認めるものの、比較的順調に遂行されている部門もあるため全体的な達成度として②を選択した。 1)R3hdmlのp38MAPKリン酸化抑制機構の詳細なメカニズムの検討 この検討に関しては、TGF-βで刺激下におけるR3hdml過剰発現細胞株を、免疫沈降法を用いて回収することが必須となる。しかしながら、現在我々が持ち合わせているR3hdml抗体では、免疫沈降を行うことが非常に困難であった。そこで今年度は、新たなR3hdml抗体の作成に取りかかり、完成したところである。この抗体を用いて再度免疫沈降を実施し、結合タンパク質を質量分析法など用いて網羅的に解析する予定である。 2)R3hdmlのプロモーター解析を通した、TGF-β以外のR3hdml発現現調節因子の解明 この検討に関しては、TFSEARCHやTRANSFACなどのデータベースでは十分な情報を入手できていない。今後も他のデータベースやその他の手法を用いた検討を継続していく予定としている。 3)R3hdml過剰発現モデルの作成および糖尿病状態におけるR3hdmlの腎保護効果の検証 R3hdml過剰発現モデルの作成については、現在アデノウイルスを用いた全身におけるR3hdml過剰発現マウスモデルの作成を中心に行っている。R3hdmlアデノウイルスベクターを作成し、増幅させることに成功した。また実際にマウスに投与する手技として、尾静脈ないしは眼科静脈叢からの投与が一般的であるが、それらの方法は習得した。現在実際にマウスに投与しR3hdmlの発現を免疫染色およびWB法で確認している。過剰発現の成功を確認次第、STZやTGF-βを投与し、腎機能に与えるR3hdmlの保護効果を観察する。
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今後の研究の推進方策 |
1)R3hdmlのp38MAPKリン酸化抑制機構の詳細なメカニズムの検討 この検討に関しては、新たなR3hdml抗体の作成を使用し、検討を継続する。免疫沈降を実施し、結合タンパク質を質量分析法など用いて網羅的に解析する予定である。 2)R3hdmlのプロモーター解析を通した、TGF-β以外のR3hdml発現現調節因子の解明 この検討については、他のデータベースを用いて、R3hdmlのプロモーター領域に結合する結合因子をin silicoで検索し、候補が判明した際にはクロマチン免疫沈降(ChiP)アッセイを用いて検討することを予定している。挿入的クロマチン免疫沈降法(iChIP)による特定のプロモーター領域に結合する未知分子の網羅的な解析を行うことで、R3hdmlプロモーター領域に結合する分子の網羅的な検索も計画する。3)R3hdml過剰発現モデルの作成および糖尿病状態におけるR3hdmlの腎保護効果の検証 本検討については、予定通りR3hdmlアデノウイルスベクターをマウスに投与し発現を確認後、STZやTGF-βを投与し、腎機能に与えるR3hdmlの保護効果を観察する予定である。
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