肥満に伴い、褐色脂肪機能が低下し全身の代謝障害を引き起こすこと、また血液凝固第Xa因子(FXa)が増加することが知られている。食餌誘導性肥満モデルマウスを作製したところ、褐色脂肪機能の低下と糖代謝異常が生じたが、その際に褐色脂肪においてFXaが増加し、その受容体であるPAR1も増加した。FXa-PAR1シグナルは褐色脂肪細胞のミトコンドリア内の活性酸素レベルを上昇させることでミトコンドリア機能を低下させ、褐色脂肪不全を引き起こした。FXa阻害薬やPAR1欠損マウスではこれらの形質が改善したことから、FXa-PAR1シグナルが糖尿病に対する新たな治療標的となる可能性が示唆された。
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