研究課題/領域番号 |
16K19533
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
島 孝佑 金沢大学, 附属病院, 医員 (20770613)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝 / LECT2 / ヘパトカイン |
研究実績の概要 |
研究計画の通り、LECT2 欠損(KO)マウスおよび LECT2 過剰発現(Tg)マウスへCDAHFD(コリン欠乏 メチオニン減量、約30kcal% 脂肪含有量)を投与し脂肪肝炎モデルを作成し、野生型マウスに脂肪肝炎を誘導した場合と比較した。 LECT2Tgマウスにおいて脂肪肝炎を誘導すると、WTと比較し、肝臓でのIL-6遺伝子発現は有意に上昇していた。しかし、その他の炎症線維化関連遺伝子であるTNF-a、MCP-1、F4/80、TGFb1は上昇していたものの有意ではなかった。肝線維化を反映するハイドロキシプロリン濃度もLect2Tgマウスにおいて上昇していたが統計学的有意差は見られなかった。 CDAHF食飼育下LECT2KOマウスにおいて、Lect2Tgマウスとは反対に肝臓でのIL-6遺伝子発現は有意に低下していた。また肝線維化を示すaSMAも有意に低下した。しかし、その他の炎症線維化関連遺伝子であるTNF-a、MCP-1、F4/80、TGFb1は低下していたものの有意ではなかった。仮説と反し、Lect2KOマウスでは野生型と比較し、肝中性脂肪含量が有意に上昇していた。 CDAHF食で予想よりも高度な脂肪肝炎起こってたため表現型を明確に評価できなかった可能性がある。肝臓の線維化において中心的な役割を担うヒト肝星細胞(Human Hepatic Stellate Cells)の培養細胞株であるLX-2細胞を用いた実験を行う。動物実験よりも単純なモデルとしてヒト肝星細胞株を用い肝線維化に対する直接的な影響を検討し、CDAHF食以外のNASH動物モデルでの検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の通り、LECT2 欠損(KO)マウスおよび LECT2 過剰発現(Tg)マウスへCDAHFD(コリン欠乏 メチオニン減量、約30kcal% 脂肪含有量)を投与し脂肪肝炎モデルを作成し、肝臓の脂肪化、線維化、炎症を評価した。 LECT2Tgマウスにおいて肝臓でのIL-6遺伝子発現は有意に上昇し、LECT2KOマウスにおいて、肝臓でのIL-6遺伝子発現は有意に低下していた。しかし、その他の炎症線維化関連遺伝子であるTNF-a、MCP-1、F4/80、TGFb1は変化していたものの有意ではなかった。CDAHF食で予想よりも高度な脂肪肝炎起こってたため表現型を明確に評価できなかった可能性がある。そのため、次年度の計画を変更し、ヒト肝星細胞(Human Hepatic Stellate Cells)株であるLX-2細胞を用いた実験を行う。
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今後の研究の推進方策 |
LECT2欠損マウス、LECT2過剰発現マウスの両動物モデルにおいて、肝臓IL-6遺伝子発現は変化していたものの脂肪肝炎の全体的な表現型の変化は明らかではなかった。そのため、より単純なモデルとして、ヒト肝星細胞(Human Hepatic Stellate Cells)株であるLX-2細胞を用いた実験を行う。肝星細胞は肝臓の線維化において中心的な役割を担う細胞であり、Lect2を処置することでコラーゲン1a1遺伝子などの線維化関連遺伝子発現を評価することで、Lect2が肝線維化を進行させるかを検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究遂行のため、必要な物品を効率的に購入した結果、18,884円の差額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算と合算して、研究に必要な物品の購入に使用する。
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