研究実績の概要 |
研究計画の通り、LECT2欠損(KO)マウスおよびLECT2過剰発現(Tg)マウスへのCDAHFD(コリン欠乏、メチオニン減量、30%脂肪含有)を投与し脂肪肝炎モデルを作成し、野生型マウスと比較。LECT2Tgマウスにおいて脂肪肝炎を誘導すると野生型と比較し、肝臓でのIL-6発現は有意に上昇したが、その他の炎症線維化関連遺伝子であるTNF-a、MCP-1、F4/80、TGFb1は上昇したものの有意差なし。肝線維化を反映するハイドロキシプロリン濃度もLect2Tgマウスで上昇していたが統計的な有意差はなし。 一方、Lect2KOマウスでは肝臓でのIL-6遺伝子発現は有意に低下していた。また肝線維化を示すaSMAも有意に低下していた。しかしその他の線維化炎症関連遺伝子であるTNF-a、MCP-1、F4/80、TGFb1の有意な変化は認めなかった。仮説と反しLECT2KOマウスでは肝中性脂肪肝含有料が有意に上昇していた。 CDAHFDで予想よりも高度な脂肪肝炎が起こっていたため表現型を正確に評価できなかった可能性がある。肝臓の線維化において中心的な役割を担うヒト肝星細胞の培養細胞株であるLX-2細胞を用いた実験を行った。LECT2処置したLX-2細胞でaSMA, コラーゲン遺伝子発現は上昇せず、LECT2の線維化促進作用はあきらかではなかった。 以上より、当初の仮説とは異なり、本検討ではLECT2は非アルコール性脂肪肝炎の病態に影響は及ぼないと結論付けた。
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