研究課題
2型糖尿病の個別化予防・治療法の確立には、原因遺伝子の同定と遺伝子・環境因子相互作用の解明が鍵である。レジスチンは、インスリン抵抗性を惹起するサイトカインである。本研究では、一般住民を対象とし、レジスチン一塩基多型(SNP)・環境因子相互作用が、インスリン抵抗性関連疾患発症へ与える影響を明らかにすることを目的とした。地域一般住民約2400名のDNA及び血清サンプルと臨床データを収集し、横断研究を行った。遺伝因子としては、本集団においても、血中レジスチンはプロモーター領域のSNP-420とSNP-358によって最も強く規定されていることを確認した。環境因子については、一般の健診項目の他、食品摂取頻度調査(FFQ)による栄養摂取量、加速度機能付き生活習慣記録器による1週間の運動量、自宅での睡眠状況、家庭血圧、自律神経機能、認知機能、サルコペニアの評価等、日常における詳細な環境因子を定量化した。その結果、本年度は、身体活動とレジスチンSNP-420が、相互作用により血中レジスチンと関連することを報告した。本集団は、5年後~10年後の追跡調査を継続中である。75g経口ブドウ糖負荷試験を含む詳細な健診を再度行い、これにより、インスリン抵抗性や分泌能の悪化、糖代謝異常の発症が解析可能となる。さらに、動脈硬化の悪化や心血管病の発症が評価できる。本年度は、身体活動の5年間の変化と、血中レジスチンが関連することを報告した。さらに2019年度からは、10年後の前向き調査を開始する予定である。これにより、遺伝子・環境因子相互作用を標的としたインスリン抵抗性関連疾患の個別化予防・治療が期待できる。
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