研究実績の概要 |
【具体的内容】動脈硬化モデルマウス(ApoEノックアウトマウス)に特殊試料を給仕、動脈硬化を発症させ、動脈硬化巣における自然免疫リンパ系細胞(Innate Lymphoid cell, ILC)の動態をマルチカラーフローサイトメーターにより検討した。多施設多目的前向きコホート研究(KAMOGAWAコホート研究)において、2型糖尿病患者から末梢血を30mL採取し、密度勾配遠心により単核球分画を分離した。Lineage, CD45, CD127, CRTH2, c-kit, Nkp44などを含む表面抗原を染色し、マルチカラーフローサイトメーターによりILC分画(ILC1、ILC2、ILC3)の解析を行った。 【意義】動脈硬化の病態進展におけるILCの関与と内臓脂肪組織の慢性炎症におけるILCの関与を対比することにより、肥満・インスリン抵抗性という生活習慣病の基盤病態と動脈硬化という合併症の病態形成との連動を自然免疫の関与という視点から解明していく。こうすることによって、糖尿病の基盤病態と合併症進展の共通基盤としての慢性炎症におけるILCの役割を明らかにする。もって、ILCを標的として糖尿病合併症進展を抑制させる新規治療法の開発につなげる。また、糖尿病コホート研究と連関させることで、動物モデルの知見が実際の臨床にて応用できるかについても評価する。具体的にはヒト末梢血ILCを評価し、動脈硬化症病巣局所の病態を抹消でモニターできるバイオマーカー開発につなげる。 【重要性】動脈硬化の病態進展では免疫学的恒常性が破綻していると推定されているが、病態解明が不十分である。最近、自然免疫/自然炎症を担うILCの循環器・血管系疾患における役割の重要性が注目されている。本研究は、肥満・インスリン抵抗性という生活習慣病の基盤病態と動脈硬化という合併症の病態形成との連動を明らかにするうえで重要である。
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