研究課題
最近2型糖尿病治療薬として1)インクレチン関連薬や、2)G protein-coupled receptor 40受容体作動薬が注目を集め、臨床応用や治験が実施されているが、その作用機序は明らかではない。我々はtransient receptor potentialチャネル(Trp)を介する新規インスリン分泌経路を発見し、1)、2)は本経路を刺激し、インス リン分泌を増強する事を報告してきた(Diabetes.2014)。本研究では、1)、2)刺激からTrpに至るまでの更なるシグナル解析を実施した。また、これまで機序不明とされてきたインスリン分泌促進物質・抑制物質の多くが本経路に関与することが示唆され、その検討も実施した。H28年度H29年度、我々はGPR40受容体刺激がTrpC3チャネルを開口させる事でインスリン分泌を促進する事、生理的濃度のアドレナリンはα2A受容体-cAMP抑制を介してインスリン分泌を抑制することを報告した。H30年度、我々はアクティブゾーン蛋白の一つであるELKSが膵β細胞にも発現しており、GLP-1同様インスリン分泌の第1相に影響を及ぼしている事に注目し、ELKSノックアウトマウスを用いて検討した。その結果、ELKSは毛細血管側のβ細胞膜に限局して発現し、L型電位依存性Caチャネルと複合体を形成し、毛細血管側でグルコース刺激によって生じるCa流入を促進することで、効率よく血管側にインスリン分泌を生じさせている事が明らかとなった。糖尿病モデル動物ではELKSの発現が低下していることも明らかとなり、今後新たな創薬ターゲットとなる可能性も高く、意義のある成果と考える。
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Cell reports
巻: 26(5) ページ: 1213-1226
10.1016/j.celrep.2018.12.106.