研究課題/領域番号 |
16K19548
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
下田 将司 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60388957)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | SGLT2阻害薬 / 消化管糖輸送 / インクレチン |
研究実績の概要 |
【背景】選択的SGLT2阻害薬は、腎近位尿細管に発現するSGLT2に選択的に作用し尿糖排泄を増加させ、血糖、体重などに好影響を及ぼすため、肥満2型糖尿病患者の治療で期待されている。本薬による尿糖排泄促進作用は長期間維持されるが、一方でエネルギー恒常性へ及ぼす影響は不明である。実臨床では本薬投与後に食欲が亢進する例もあり、エネルギー恒常性維持のための防御機構の存在を示唆する。【目的】(Study 1)本薬を慢性投与した際、グルコース体外排泄調節を担う「腎臓」と体内流入調節を担う「消化管」の間に、エネルギー恒常性維持機構として連関が有るか否かを検討する。(Study 2)本薬投与直後の消化管糖輸送の変化を検討する。本薬のSGLT選択性は濃度依存性であり、選択的SGLT2阻害薬といえど、薬剤が高濃度に存在する消化管ではSGLT1を介した糖輸送に影響する可能性がある。【方法】肥満糖尿病モデルマウスをSGLT2阻害薬Luseogliflozin(L)群とControl(C)群に分け、単回、慢性投与後の経口糖負荷試験(OGTT)の結果および消化管糖輸送能を比較検討した。慢性投与の場合、実験当日、薬剤は投与しない【結果】(Study 1)十二指腸や小腸の糖輸送はC群に比しL群で亢進し、OGTT時の血中GLP-1はL群で高値であった。(Study 2)十二指腸での糖輸送はL群で低値、以降はL群で高値であった。OGTT時の血糖やインスリンは、尿糖排泄がC群に比し増加する以前より、L群ですでに低値であった。15分後の血中GIPはL群で低値、60~120分後はL群で高値であった。血中GLP-1は15分後以降、L群で高値であった。【まとめ】Luseogliflozinの単回、慢性投与はともに消化管糖輸送に影響している。また、エネルギー恒常性維持機構として、腎・消化管連関の存在が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、平成28年度に計画した研究内容を概ね行うことが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところは順調に進んでおり、このまま平成29年度の計画を推し進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
【研究実績の概要】に記載した通り、概ね計画通り進んでいるが、当研究内の検討項目において、一部時間を要し、一部平成28年度で行えなかった研究内容があるため
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に行う予定であった、ELISAおよび消化管2-DG uptake関連実験の必要な費用に充てる予定である。
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