研究課題
副腎球状層における細胞増殖機構を解明するため、副腎選択的に発現し、かつ、細胞増殖に影響を与えることが報告されている因子として、cAMP response element modulator (CREM)の機能解析を試みた。CREMには多様なスプライシングアイソフォームの存在が知られているが、副腎球状層増殖刺激であるアンジオテンシンIIで副腎細胞を刺激すると、転写抑制型アイソフォームであるInducible cAMP early repressor (ICER) の発現が顕著に増加することが明らかとなった。アンジオテンシンIIはリン酸化シグナル伝達を介してcAMP response element (CRE) 活性を上昇させることで下流遺伝子の発現を増加させるが、ICERを過剰発現させた細胞ではアンジオテンシンII刺激に対するCRE活性化が抑制された。これらの結果から副腎細胞におけるアンジオテンシンII刺激に対するICERを介したネガティブフィードバック機構が示唆された。より詳細なICERによる転写調節機構を明らかにするため、副腎細胞におけるICERの相互作用因子の網羅的な探索を行った。その結果、Adenosylhomocysteinase Like 1 (AHCYL1)及びAHCYL2をICER結合因子として同定した。これらのタンパク質はCREMアイソフォームの内、ICERだけでなく、CREMaやCREMt2とも相互作用することを明らかにした。また、AHCYL1およびAHCYL2は副腎細胞に過剰発現させるとアンジオテンシンIIによるCRE活性を亢進させ、ICERはその活性化を抑制することが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
PLoS One
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Biochem Biophys Res Commun.
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10.1016/j.bbrc.2017.05.109. Epub 2017 May 19.