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2016 年度 実施状況報告書

受容体結合分子に着目した肥満症・メタボリック症候群に対する統合医療

研究課題

研究課題/領域番号 16K19558
研究機関横浜市立大学

研究代表者

小豆島 健護  横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (00760381)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード肥満症 / レニン-アンジオテンシン系 / 脂肪組織 / インスリン抵抗性 / 受容体
研究実績の概要

AT1受容体結合低分子蛋白(ATRAP)は、組織レニン-アンジオテンシン系(RAS)の過剰活性化に拮抗する内在性抑制分子である可能性がある。本研究では、メタボリック症候群(MetS)の基盤となる肥満症の発症・進展におけるATRAPの病態生理学的意義を明らかにするとともに、ATRAPに着目した新規分子標的治療法の可能性を検討した。
5.4-kb Adiponectinプロモーターを用いたマイクロインジェクション法により作成した脂肪組織特異的ATRAP高発現マウス(TG)とその同腹子コントロールマウス(WT)に、8週齢から10週間に渡る高脂肪食負荷(HFD)を行った。マウスの体重増加、内臓脂肪量、脂肪細胞のサイズを、またインスリン抵抗性や耐糖能の評価はインスリン負荷試験と糖負荷試験を行い比較検討した。さらに、アディポカインの発現、脂肪組織におけるマクロファージ浸潤、酸化ストレスおよびグルコース輸送体(GLUT-4)を含めたインスリンシグナル伝達系はReal-time PCR法とWestern blot法を用いて比較検討した。
TGはWTと比較して、通常餌飼育下において体重などの表現型に変化は認められなかった。しかし、HFDにおいて、TGでは体重増加、脂肪重量および細胞面積の増大、そしてインスリン抵抗性の増悪がWTと比較して有意に抑制された。またTGでは、HFDによる脂肪組織の炎症性アディポカインおよびNADPH oxidase mRNA発現の上昇が著明に抑制されるとともに、炎症細胞の浸潤も有意に軽減していた。そしてWTと比較して、TGの脂肪組織におけるGLUT4発現は有意に上昇するとともにp38-MAPK発現は有意に低下していた。
以上より、脂肪組織におけるATRAPの高発現は、HFDによる脂肪組織RASの過剰活性化に拮抗し、肥満症の進展に抑制的に作用する可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の進捗として、ATRAPの脂肪組織におけるgain-of-functionの評価を概ね順調に行うことができた。今後はloss-of-functionの評価、および漢方薬とATRAP活性化治療との併用による統合医療の肥満症に対する治療効果の検討を行っていく。

今後の研究の推進方策

Cre-loxp法により作成した脂肪組織特異的ATRAP欠損マウスを用いて、脂肪組織におけるATRAPのloss-of-functionの評価を行う。また、高脂肪食負荷した脂肪組織特異的ATRAP高発現マウスに防風通聖散を投与することにより、漢方薬とATRAP活性化治療との併用による統合医療の肥満症に対する治療効果の検討を行っていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Adipocyte-Specific Enhancement of Angiotensin II Type 1 Receptor-Associated Protein Ameliorates Diet-Induced Visceral Obesity and Insulin Resistance.2017

    • 著者名/発表者名
      Azushima K, Ohki K, Wakui H, Uneda K, Haku S, Kobayashi R, Haruhara K, Kinguchi S, Matsuda M, Maeda A, Toya Y, Yamashita A, Umemura S, Tamura K.
    • 雑誌名

      Journal of the American Heart Association

      巻: 6 ページ: e004488

    • DOI

      10.1161/JAHA.116.004488.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 脂肪組織におけるアンジオテンシン受容体結合因子(ATRAP/Agtrap)の高発現は食餌性肥満およびインスリン抵抗性の増悪を抑制する2016

    • 著者名/発表者名
      小豆島 健護
    • 学会等名
      第39回日本高血圧学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-09-30 – 2016-10-02
  • [学会発表] Adipose tissue ATRAP (angiotensin II type 1 receptor-associated protein) prevents diet-induced visceral obesity and insulin resistance via the alternation of adipose GLUT4 expression2016

    • 著者名/発表者名
      Kengo Azushima
    • 学会等名
      The ISH 2016 satellite symposium, Renin-angiotensin-aldosterone system (RAAS)
    • 発表場所
      コングレススクエア日本橋(東京都中央区)
    • 年月日
      2016-09-23 – 2016-09-24
    • 国際学会
  • [備考] 循環器・腎臓内科学の小豆島健護博士が, 脂肪細胞機能制御による生活習慣病の新規治療の可能性を発表

    • URL

      http://www.yokohama-medicine.org/news/

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公開日: 2018-01-16  

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