研究課題
平成29年度は、平成28年度に引き続きMonoMAC症候群患者から樹立したiPS細胞のクローンの中から正常核型を有するクローンの抽出を行うためG分染法でスクリーニングを進めてきたが、結果的に全ての細胞で染色体異常が検出され、解析可能なクローンの樹立にいたらなかった。この原因として、GATA-2の機能喪失型変異によりゲノムの不安定性が増している可能性を想定している。現在も引き続き、正常核型を有するMonoMAC症候群由来のiPS細胞の樹立を試みている状況である。さらに、いかにGATA-2の機能喪失がゲノムの安定性に寄与しうるかの可能性についても検証を行っている。一方、本手法を用いて遺伝性鉄芽球性貧血患者由来のiPS細胞の樹立にすでに成功している。平成29年度中に本iPS細胞を用いて血液細胞への分化誘導方法を検討した。具体的には、既報のプロトコールを一部改変し(ES・iPS細胞実験スタンダード,羊土社)、OP9との共培養法を用いて、IMDMを基礎培地としVEGF、BMP4などのサイトカインを随時加えていくことで、分化開始後12日目以降にiPS細胞からCD34陽性細胞が出現することをまず確認した。得られたCD34陽性細胞を用いて、引き続きOP9細胞との共培養法下のもとに、SCF、IL-3、EPO、TPOのサイトカインを用いて分化誘導を行う事により、赤芽球への分化誘導に成功した。その結果、これまでに存在しなかった鉄芽球性貧血の疾患モデルの確立に世界に先駆けて成功した(Haematologica 2018)。
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Internal Medicine
巻: - ページ: -
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