前白血病状態の造血幹細胞の特徴は遺伝毒性ストレスに対する抵抗性なので、この抵抗性を標的とした治療の可能性を追究するため、前白血病モデルマウスを構築し、脂肪細胞分泌ホルモン・アディポネクチンの正常・前白血病性造血幹細胞に対する影響を明らかにすることを試みた。アディポネクチンは定常状態の正常造血幹細胞に対しては大きな影響を与えないが、遺伝毒性ストレスが加わるとAkt/mTORC1経路の活性化を介して、ミトコンドリアを介したエネルギー供給を増加させ、正常造血幹細胞の活性化・細胞周期への誘導を促進することを明らかにした。一方前白血病性クローンが徐々に増殖する前白血病モデルマウスは現在構築中である。
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