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2016 年度 実施状況報告書

樹状細胞のホメオスターシスに関与する新規IL-27シグナル伝達の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K19571
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

梶田 美穂子  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特任助教 (00607442)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードWSX1 / dendritic cells / interferon gamma
研究実績の概要

IL-27は活性化した樹状細胞(DC)によって産生され、T細胞のTh1細胞への分化や免疫応答に重要な役割を果たすと同時に、IL-10の産生誘導などを通じて免疫抑制的な作用も示す。WSX1はgp130とヘテロダイマーを形成し、IL-27受容体として機能する。私は、加齢したWSX1ノックアウトマウスにおいてDCが二次リンパ組織から著しく減少しており、さらにCD4+及びCD8+T細胞の活性化、血清中のIFN-γや抗DNA抗体の上昇など自己免疫疾患様のフェノタイプを示すことを明らかにした。本研究では、この現象についてさらに詳細に解析し、IL-27 がDCのホメオスターシスや自己免疫疾患に関与している可能性について検討した。まずは血清中でIFN-γの濃度が上昇していることに着目し、in vitroの骨髄細胞培養系にFlt3 ligand と共にIFN-γを添加してDCの分化度合いを解析したところ、IFN-γの添加によりDCの分化が著しく抑制されることを発見した。さらにIFN-γのソースとなる細胞を探索した結果、IFN-γは活性化したCD4+及びCD8+T細胞によって産生されていることが分かった。また骨髄における分化マーカー陰性細胞集団においてIFN-γのターゲット遺伝子であるSca-1の発現が亢進しており、血清中で上昇しているIFN-γが骨髄の各種前駆細胞に影響を与えていることが示唆された。これらの結果から、IFN-γの上昇によってDCが減少している可能性が考えられたため、IFN-γとWSX1のダブルノックアウトマウスを作製した。現在はこのダブルノックアウトマウスを加齢させている最中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は5月に出産したことに伴い産休・育休を取得したため、5ヶ月間のブランクが発生したが、9月に仕事復帰してから精力的に研究を推進し、血清中のIFN-γが骨髄細胞のDC前駆細胞に作用してDC分化を抑制している可能性があること、さらにその分子機構なども明らかにしつつある。またIFN-γとWSX1のダブルノックアウトマウスの作製にも成功している。以上の状況から、研究は概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

研究実績の概要の項でも述べたが、本研究で研究対象としている加齢したWSX1ノックアウトマウスでみられるフェノタイプにIFN-γがどのように関与しているか、IFN-γとWSX1のダブルノックアウトマウスの解析によって明らかにしていく。また、DCもしくはT細胞特異的にWSX1をノックアウトしたマウスを作製中である(WSX1flox/flox / CD11c-cre, WSX1flox/flox / Lck-cre)。これらのマウスについても、血清中のIFN-γ濃度の上昇やDCの二次リンパ組織からの減少などのフェノタイプがどのように影響を受けるかを解析していく。さらにWSX1のリガンド側のノックアウトマウスも作製を完了しており、このマウスを加齢させた際にWSX1ノックアウトマウスと同じフェノタイプを示すかどうかを確認していく。

次年度使用額が生じた理由

昨年度は5月に出産したことに伴い、5ヶ月間の産休・育休期間が生じたため、抗体や細胞培養の培地などの購入が予定より少なかったため。

次年度使用額の使用計画

実験に必要な抗体や細胞培養の培地などを購入する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)

  • [雑誌論文] Cell competition with normal epithelial cells promotes apical extrusion of transformed cells through metabolic changes.2017

    • 著者名/発表者名
      Kon, S., Ishibashi, K., Katoh, H., Kitamoto, S., Shirai, T., Tanaka, S., Kajita, M., Ishikawa, S., Yamauchi, H., Yako, Y., Kamasaki, T., Matsumoto, T., Watanabe, H., Egami, R., Sasaki, A., Nishikawa, A., Kameda, I., Maruyama, T., Narumi, R. , Morita, T. et al.
    • 雑誌名

      Nature Cell Biology

      巻: 19 ページ: 530-541

    • DOI

      10.1038/ncb3509

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Plectin is a novel regulator for apical extrusion of RasV12-transformed cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Kadeer, A., Maruyama, T., Kajita, M., Morita, T., Sasaki, A., Ohoka, A., Ishikawa, S., Ikegawa, M., Shimada, T. and Fujita, Y
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: 44328

    • DOI

      10.1038/srep44328

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rab5-regulated endocytosis plays a crucial role in apical extrusion of transformed cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Saitoh, S., Maruyama, T., Yako, Y., Kajita, M., Fujioka, Y., Ohba, Y., Kasai, N., Sugama, N., Kon, S., Ishikawa, S., Hayashi, T., Yamazaki, T., Tada, M. and Fujita, Y.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci USA

      巻: 114 ページ: E2327-E2336

    • DOI

      10.1073/pnas.1602349114

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2018-01-16  

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