研究課題
IL-27は主に活性化した樹状細胞(DC)によって産生され、T細胞のTh1細胞への分化や免疫応答に重要な役割を果たすと同時に、IL-10の産生誘導などを通じて免疫抑制的な作用も示す。WSX1はgp130とヘテロダイマーを形成し、IL-27受容体として機能する。私は、加齢したWSX1欠損マウスにおいてDCが二次リンパ組織から著しく減少しており、さらにCD4+及びCD8+T細胞の活性化、血清中のIFN-γや抗DNA抗体の上昇など自己免疫疾患様のフェノタイプを示すことを明らかにした。本年度は、昨年度に引き続きIL-27シグナルがIFN-γを通じてDCのホメオスターシスに関与している可能性について検討した。昨年度はin vitroの骨髄細胞培養系にFlt3 ligandと共にIFN-γを添加するとDCの分化が著しく抑制されることを明らかにした。本年度はこの現象についてさらに解析し、IFN-γの添加によって、骨髄の分化マーカー陰性細胞群において、Flt3 陽性の細胞群が顕著に減少していることを発見した。IFN-γ受容体欠損マウスや、その下流で作用するSTAT1欠損マウス由来の骨髄分化マーカー陰性細胞群においては、Flt3 陽性の細胞群の減少は抑制されていたことから、IFN-γがこれらの分子を介してFlt3陽性細胞群の減少を引き起こすこともわかった。そこでFlt3 ligandの欠損マウス(このマウスではDCが減少することがすでに報告されている)を加齢させ、WSX1欠損マウスと同様に自己免疫疾患が発症するか検討した。その結果、10ヶ月齢のFlt3 ligand 欠損マウスについて、脾臓におけるDCの減少は確認したが、自己免疫疾患の発症には至らず、WSX1欠損マウスにおける自己免疫疾患の発症にはDCの減少に加えてIL-27シグナルの欠損が統合的に作用していることが考えられた。
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