研究課題
本研究は、CRISPR/Cas9システムで7番染色体の広範囲の領域を欠損させたヒトiPS細胞を樹立し、これを造血細胞へ分化させてin vitroで骨髄異形成症候群を再現する、造血細胞異形成評価システムを確立することを目的としている。最終年度である平成29年度は、平成28年度に引き続き、7番染色体大領域欠失ヒトiPS細胞株(7q-iPS)の樹立と、サイトカイン培養によりiPS細胞を各種造血細胞に分化させる手技の確立を進めた。平成28年度に、健常人の上皮細胞由来のiPS細胞であるSB201細胞に、ヒトのMDS症例で高頻度に欠失が見られる7q21バンド近辺を標的にしたターゲットベクターとCRISPR/Cas9エレメントをエレクトロポレーション法(Neonシステム)で導入する系の立ち上げを進めたが、今年度はその手法を用いて、7q21バンド近辺の数カ所の欠失を標的としたターゲットベクターと対応するCRISPR/RNAを作製し、SB201細胞に導入したのち薬剤セレクションを試みたところ、標的箇所ごとにそれぞれ数種類の7q-iPS細胞のクローンを得ることができた。現在、欠失領域部位間や7q-iPS細胞クローン株間での差異を評価するべく、野生株のiPS細胞を用いてEmbryoid body形成法で造血細胞に分化させる系の安定化を継続して進めるとともに、細胞形態の確認や表面マーカー解析、コロニーアッセイなどの評価法で違いが明らかになるかどうか検討を進めている。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
PLoS Pathog.
巻: 14 ページ: e1006884
10.1371/journal.ppat.1006884
Blood
巻: 129 ページ: 2148-2160
10.1182/blood-2016-06-724658