研究課題
プローブを用いたウイルスDNA濃縮法と次世代シークエンサーを組み合わせた高精度なプロウイルスのエピジェネティクス解析法を用いたエピジェネティクスなアプローチにより、HTLV-1持続感染、そして成人T細胞白血病-リンパ腫(ATL)発症に関わるプロウイルスの転写制御機構を明らかにする。MNaseシークエンスとChIPシークエンスによりHTLV-1プロウイルスに新規エンハンサー領域がある可能性が示された。3’LTRはマイナスにコードされるHBZのプロモーターであることが知られているため、このNFRはそのエンハンサー領域の可能性があると考えた。そこでルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて、このNFRのエンハンサー機能を検討した。HBZのプロモーターである3‘LTRをプロモーターとして使用したベクターを作製し、NFRを含む領域と含まない領域をベクターに挿入し、ルシフェラーゼ活性を測定した。NFRを挿入したベクター では、約3倍のエンハンサー活性を認めた。さらに、8つの細胞株と4例のHTLV-1キャリア、11例のATL患者のPBMCを用いて、同領域のDNA配列解析を行った。その結果、各細胞株及び症例で塩基配列が高度に保存されていることが確認された。エンハンサー領域における転写因子結合予測をデータベースにおいて検索し、候補となる転写因子のChIP-seqをATL細胞株で行った。そのうち、Serum Response Factor(SRF)とEts-like transcription factor(ELK-1)の同領域への局在が確認された。ATL患者の末梢血単核球におけるChIP-seqでも、同領域にSRFとELK-1の存在が観察された。NFRの配列をプローブとして用いて、SRFとELK-1のゲルシフトアッセイを行った。抗SRF抗体、抗ELK-1抗体を加えることによって、スーパーシフトバンドが観察された。
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