研究課題
Indoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)はトリプトファンをキヌレニンに分解する経路の律速酵素で、がんの抗腫瘍免疫応答の抑制に関与する。我々はこれまでに成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)において、IDO活性の上昇が独立した予後不良因子であることを報告してきた。これを踏まえて平成29年度にはさらに、以下の点について探索を行った。①ホジキンリンパ腫(HL)患者血清を用いてIDO活性を評価し、HLにおいてもIDO活性の上昇は独立した予後不良因子であることを見出した。HL患者由来リンパ組織を用いた検討では、IDO産生細胞は腫瘍細胞ではなく、腫瘍微小環境中に存在する組織球系の細胞であることを確認した。この結果をCancer Science誌(2018 Jan;109(1):74-83.doi:10.1111/cas.13432. Epub 2017 Nov 29)に発表した。②濾胞性リンパ腫(FL)患者血清については、H28年度から継続してIDO活性を評価した。解析対象の患者数を増やして解析を実施し、FLにおいてもIDO活性の上昇が独立した予後不良因子であることを見出した。FL患者由来リンパ組織を用いた検討では、IDO産生細胞はHLと同様に腫瘍細胞ではなく、腫瘍微小環境中に存在する組織球系の細胞であることを確認した。これらの結果は、IDOがさまざまなリンパ腫の予後因子として有用であるとともに、IDOがHLにおけるがん免疫療法の治療標的として有望であることを示すものである。このほかに計画していた疾患モデルマウスでのIDO阻害剤による治療実験に関しては、疾患モデルマウスの作成に成功したが、薬剤の投与経路、投与量、投与スケジュールの設定を行っており、さらに今後継続して研究を実施していく。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)
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