研究課題/領域番号 |
16K19586
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
仲宗根 秀樹 自治医科大学, 医学部, 講師 (50757903)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アディポネクチン / 皮膚線維芽細胞 / NAMPT/visaftin / 慢性移植片対宿主病 |
研究実績の概要 |
【目的】慢性移植片対宿主病は、移植後免疫再構築の異常に伴う同種免疫の過剰応答と考えられている。申請者は最近、脂肪細胞から分泌される生理活性物質(アディポカイン)の一つであるadiponectinが、造血細胞移植後の慢性移植片対宿主病患者で上昇していることを報告した。それに基づき、本研究では、(a) 慢性移植片対宿主病の発症の有無による患者血中アディポカインの濃度の相違、(b) 各アディポカインによる、同種免疫応答の担当細胞への修飾作用、(c) 標的臓器(皮膚等)への修飾作用を明らかにすることを目的としている。 【成果】移植後患者において定期的な(移植前、移植後1か月、2か月、3か月、半年、9か月、1年、1.5年、2年)の検体保存が行われ、随時、アディポカインやその他のサイトカイン等の測定を継時的に行っている。十分なデータが集まり次第、臨床情報(慢性移植片対宿主病の発症、重症度)との関連を統計学的に検討する。 また、高分子量アディポネクチンを皮膚線維芽細胞に投与した際、濃度依存的にNAMPT、ST2のmRNAの発現上昇が認められ、一方でCD47の発現低下があることが分かった。また、低分子量アディポネクチンを正常ヒト末梢血単核球に投与すると、FoxP3の発現上昇、NAMPTの発現上昇が判明した。これらもサンプル数を増やして同現象が再現できるかを確認中である。 【意義】アディポカインによる免疫応答への修飾作用の可能性が示唆され、さらに標的細胞である皮膚線維芽細胞での線維化や炎症を誘発増長する可能性が示唆された。今後、さらにサンプル数を増やして、アディポカインの慢性移植片対宿主病での役割を明らかにし、慢性移植片対宿主病の病態ネットワークを新たにとらえ直す基盤となると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度末の際に、進行を軽度調整したため。 (キットの不具合の可能性があったため確認作業等あり)
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらにサンプル数(健常ドナー、患者)を増やし、上記で得られた結果の再現性の確認および、阻害剤等の投与をin vitroで行い発現変化を確認する。 また、蛍光顕微鏡等も活用し、マクロな変化も観察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
キットの不具合の可能性などがあり確認作業を行っていたため、年度をまたいでの発注および納品になる可能性があった。このため、研究、実験の進捗を加味した上で、経理上の締めを安全に終了させるため、研究の進みを調節し、次年度持ち越しの上使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
計画として、年度明け次第、年度をまたいでの可能性のあった物品やその他検査費等の発注を行う。 このため、次年度使用分の計画には大きな影響は与えず、計画通りの使用が可能。
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