研究課題
平成28年度、IFNgamma 100 U/ml、72時間の刺激により滑膜線維芽細胞の細胞表面上にMHC class II分子が強く誘導されることを確認し、さらに平成29年度は、同じ条件下において共刺激分子であるB7-H1、B7-DCが細胞表面上に誘導されることも確認した。同じく共刺激分子であるB7-H3はIFNgamma刺激の有無にかかわらず細胞表面上に発現していた。これらの結果により、滑膜線維芽細胞の抗原提示能が強く示唆された。また、平成28年度、滑膜線維芽細胞内に抗シトルリン化ペプチド抗体陽性患者血清により認識され同抗体陰性患者血清では認識されない54kDaのタンパク質が存在することを示し、さらに平成29年度は、抗ビメンチン抗体、抗シトルリン抗体を用いた免疫沈降法により、この54kDaのタンパク質がシトルリン化ビメンチンであることを確認した。さらに、プロテアソーム阻害(MG132)または飢餓(無血清培地)により滑膜線維芽細胞においてオートファジーを誘導する系を確立し、同条件下において細胞内のシトルリン化ビメンチンが有意に増加すること、オートファジー阻害(3-メチルアデニン)により、プロテアソーム阻害(MG132)、飢餓(無血清培地)いずれを用いた条件においても、この効果が抑制されることを示した。以上より、滑膜線維芽細胞におけるオートファジーはビメンチンのシトルリン化を促進し、抗シトルリン化ペプチド抗体の対応抗原の増加に寄与していると考えられた。今回示された滑膜線維芽細胞の抗原提示能と合わせると、同細胞は腫瘍様増殖や炎症性サイトカイン産生にとどまらず自己免疫においても重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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Rheumatology International
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10.1007/s00296-018-4026-0