研究課題
本年度は本研究申請時に得られていたデータの再現をとることから開始した。マウスのナイーブCD4陽性T細胞にBCL-3をレトロウィルスで過剰発現させたところ、IL-35のサブユニットであるEBI3の発現が大きく低下することをRNA sequence法のみならず、定量的PCR法、ウエスタンブロット、フローサイトメトリーで確認した。このことは、炎症性サイトカインIL-6により誘導される転写因子BCL-3が、免疫抑制機能を持つサイトカインサブユニットの発現を抑制することにより、炎症を促進するという新たな機序を示唆するものである。平成28年度の研究計画1に関しては、健常人、および新規発症関節リウマチ患者の血清の収集を開始している。研究計画2に関しては野生型マウスにCIAを誘導し、回復期に至るまで経時的に足関節滑膜組織におけるBCL-3、EBI3の発現を免疫染色で評価する系の確立を進めている。また、野生型マウスにCIAを誘導する際に組み換えIL-35蛋白や抗EBI3抗体の投与を行い、関節炎スコアを比較する実験を行っている。研究計画3に関しては抗IL-6受容体抗体であるTociliumabで治療した関節リウマチ患者の治療前後の血清を収集し、血清のIL-35濃度の検討を行っている。また、コントロールとしてTNF-α阻害療法、T細胞副刺激分子阻害療法で治療を行った患者についもて同時に解析をしている。また、CD4陽性T細胞において抗BCL-3抗体を用いたChromatin-Immunoprecipitate assayにより確認を行っている。
2: おおむね順調に進展している
平成28年度研究計画に記載した3つの研究においては実験系の確立、患者の検体収集を開始しており、おおむね順調に進捗していると思われる。平成28年度の研究計画において大きな変更は生じていない。
当初計画していた研究の方向性に大きな変更はなく、平成28年度の研究において確立した実験系、および患者検体を用いて引き続き28年度の研究計画1-3をすすめる。同時に平成29年度研究計画4、iTR35細胞分化を誘導するマスター遺伝子の同定をすすめる。
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