研究課題
指定難病である全身性エリテマトーデス(SLE)の承認薬は少なく、その治療薬開発は自己免疫疾患診療における重要課題の一つである。近年、Toll-like receptor 7(TLR7)の異常活性化がSLEの発症や増悪に関与することが明らかにされている。本研究課題では、TLR7選択的な低分子阻害剤「CB-7」を活用したSLE治療薬の開発を目指している。平成29年度は、前年度に引き続き以下の4項目に関して実施した。(1)動物レベルでの有用性評価:SLEモデルマウス等においてCB-7の明確な予防・治療効果が認められなかったため、CB-7の薬物動態試験を行った。その結果、代謝安定性に問題があることがわかり、現在、誘導体合成により解決を図っている。(2)細胞レベルでの有効性評価:マウスやヒトの免疫細胞において、CB-7のTLR7阻害効果を確認した。その際、計85名のSLE患者または対照群として関節リウマチ患者から検体が得られたため、様々な免疫学的解析を行った。その結果とカルテ情報を参照することで、SLEの疾患活動性と自然免疫シグナルとの関連性を明らかにした。(3)作用機序の解明:表面プラズモン共鳴法を利用した相互作用解析の結果、CB-7はTLR7細胞外ドメインに結合することが示された。ドッキングシミュレーションの結果、CB-7はTLR7のリガンド結合部位近傍に結合しうることが示唆された。現在、TLR7/CB-7複合体のX線結晶構造解析を進めている。(4)誘導体合成及び構造活性相関の解明:CB-7よりも活性が高く、動物レベルで効果を示す阻害剤を開発するために、91種類の誘導体を創出した。活性評価の結果、複数の誘導体にCB-7よりも高い活性があることを見出した。全ての誘導体の活性評価とシミュレーション解析の結果を互いに参照することで、構造活性相関を解明した。現在、最適化合成を進めている。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 292 ページ: 15378~15394
10.1074/jbc.M117.791780
http://www.med.u-toyama.ac.jp/immbio/index.html