アレルギー疾患の再燃には抗原特異的メモリー細胞(病原性メモリー細胞)が主体となる免疫記憶機構が関与しているが、その細胞の除去が根本的治療薬となりうるがその方法は未だに見出されていない。Notchシグナル阻害によるアレルギー治療を想起した。これまでに、BALB/cマウスを卵白アルブミン(OVA)で感作し、1か月後のNotchシグナル阻害薬(GSI)を5日間投与し、OVA経口投与を行い、アレルギー反応を誘発した。対照群と比較してGSI投与群で死亡の抑制がみられたが、有意な体温低下を認めなかった。昨年までの結果を参考に、GSI投与群の発症時期を遅らせるため、OVA感作2ヶ月後にGSI5日間投与し、アレルギー反応を誘発したが、対照群と比較し、有意な下痢、体温低下の抑制を認めなかった。対象群との差が出ないことから、昨年よりも経口OVA濃度を減量し、15mgでアレルギー反応を誘発したが、下痢、体温低下の抑制を認めなかった。マウスの脾臓リンパ節からリンパ球を採取して、OVAで72時間培養し、対照群とGSI群でIL-4の抑制は認めず、OVA経口濃度減少にても差を認めなかった。OVAで感作し、1ヶ月後に5日間GSI投与し、OVA経口投与でアレルギーを誘発した後に、対象群とGSI投与群の腸管の病理組織を作成した。腸管粘膜、好酸球浸潤を比較したが、両群で相違を認めなかった。また、Notchシグナルによりアレルギー特異的CD4T細胞の消失を想定しており、抗CD4抗体を用いた群と対照群で、OVA感作し、1ヶ月後にOVA経口投与でアレルギーを誘発したが、CD4群で対照群と比較して、下痢、体温低下の抑制を認めなかった。
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