研究実績の概要 |
平成28年度、CTSEイントロン1領域内のCGCG配列で、コントロール(C57BL/6JJcl; B6)と比較しSLEモデルマウス(MRL/MpJ-Faslpr/J; MRL)でDNAメチル化が有意に低下していることを確認した。さらに同領域に結合するメチル化感受性転写因子の候補としてKaisoに着目し、CGCG配列へのKaisoの結合についてChIP-PCRを行い、MRLにおける同配列への結合能の低下を確認した。以上より、SLE由来T細胞におけるCTSE発現亢進にイントロン1内のKaiso結合部位の低メチル化が関与している可能性が示唆された。さらに、B6とMRLで同部位の塩基配列に違いを認めたため(B6:CGCG, MRL:CGGG)、平成29年度は、各々のメチル化配列をプローブとしたElectrophoresis mobility shift assay (EMSA) 及びKaiso抗体を用いたsupershift assayを施行し、 Kaisoの同領域への結合能を比較した。また、Kaiso結合領域含有DNA低メチル化領域とプロモーター領域をサブクローニングし、ルシフェラーゼ遺伝子含有ベクターに挿入したプラスミド(pGL4)をマウスT細胞株 (EL4細胞)に遺伝子導入し、ルシフェラーゼアッセイにてメチル化プラスミドと非メチル化プラスミドの転写活性を比較した。 平成28年度の実験結果より、CTSE発現の差異によるSLEの病態形成への関与として、IL10産生への影響が示唆された。CTSEに対するsiRNA (siCTSE)導入EL4細胞ではIL10蛋白レベルは有意差をもって低下しており、MRLマウスではIL10 mRNAレベルは亢進していた。同時にMRLマウスにてIL10翻訳を抑制するprogramed cell death 4 (Pdcd4) の発現低下を確認した。
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