研究課題
全身エリテマトーデス(SLE)患者は、健常人および関節リウマチ(RA)患者と比較し 末梢血中のCD4+CD52loT細胞の割合が増加していた。SLE患者における血清可溶性CD52は他群と比較して低値を示した。SLE 患者のCD4+CD52loT細胞(%)はSLEDAI(SLE疾患活動性指標)、抗ds-DNA抗体価、血清IgG値と正の相関を示した。 SLE 患者では既報の通り、Tfh like細胞の割合が増加していたが、Tfh like細胞の発現はCD4+CD52lo T 細胞と正の相関を呈した。これらのことからCD4+CD52loT細胞は形質細胞分化を介した機序によりSLEの自己抗体産生へ関与している可能性が考えられた。次にSLE患者においてCD52loT細胞を誘導する因子を同定するためCD52loおよびCD52hi T cellにおけるcDNAマイクロアレイを行い遺伝子情報の比較解析を行なった。CD4+CD52lo T 細胞においてはケモカインレセプターの発現に着目したところCCR2、CCR5、CCR8、 CXCR2 のmRNA発現が亢進していた。次にSLE患者より分離したCD4+T細胞と上記4つのCCRに対応するリガンド(GRO、MCP-1, RANTES、TARC、IL-8)とともに24時間培養を行った後にCD4+CD52lo T 細胞発現を解析した。その結果、CCR8のリガンドとして報告されているTARCがCD4+CD52lo T 細胞を誘導することが明らかとなった。この結果より、TARCはCD4+CD52loT細胞の誘導を介した機序によりSLEの病態形成に関与している可能性が示された。Umeda M, Koga T, Ichinose K et al. Clinical immunology. 2018;187:50-7.
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Clinical Immunology
巻: 187 ページ: 50-57
10.1016/j.clim.2017.10.004.