関節リウマチ患者40名と健常人20名で本研究を実施し、以下のような結果を得た。 1)関節リウマチ患者ではM1/M2比が破骨細胞数と強い相関を持っている。→M1単球そのものが破骨細胞へ分化しやすい可能性や、M1単球から産生されるサイトカインが破骨細胞分化が起こりやすい環境を作っている可能性が示唆された。 2)抗CCP抗体陽性のRA患者は陰性患者と比較して有意に高いM1/M2比を持ち破骨細胞も多い。→抗CCP抗体が破骨細胞分化を促す可能性や、M1単球を増加させている、もしくはM2単球を減少させている可能性が示唆された。 3)M1/M2比>1、すなわち、相対的にM1が多い患者では炎症所見が強い。→M1/M2比>1が関節リウマチの臨床的な疾患活動性のパラメータになる可能性が示唆された。 4)M2単球と比較して非M2単球は、リポポリサッカライド刺激によるIL-6の産生が多い。→M1がIL-6をしやすいことが、M1/M2比>1の患者で炎症所見が強いことの原因の一つであることが考えられた。 5)X線での骨破壊の有無とM1/M2比や破骨細胞数には有意な差異はみられなかった。→X線での骨破壊はM1/M2比や破骨細胞数に影響を与えないものと考えられた。 6)生物学的製剤の使用の有無とM1/M2比や破骨細胞数には有意な差異はみられなかった。→生物学的製剤の使用は、M1/M2比や破骨細胞数に影響を与えないものと考えられた。 7)多変量解析では、M1/M2比は抗CCP抗体やリウマチ因子とともに破骨細胞数に対して有意に影響する因子だった。 以上の結果から、単球には分化能やサイトカイン産生の異なるサブセットが存在していること、その背景として、関節リウマチの病因として重要であると考えられている抗CCP抗体が何らかの役割を果たしていること、末梢血M1/M2比が破骨細胞数に関与していることが示された。
|