研究課題/領域番号 |
16K19608
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
宮坂 智充 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (50709912)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アレルギー内科学 / 性差医学 / 樹状細胞 / 気道上皮細胞 |
研究実績の概要 |
喘息は、生活様式や生活環境の変化から、有病率が増加している。日本の成人喘息の発症は男性より女性でその割合が多く、思春期以降の喘息の重症度は男性より女性の方が高い。しかし、このような臨床的な性差の機序として、女性ではなぜアレルギー性免疫応答が過剰に働くのか不明な点が多い。本研究では、樹状細胞と気道上皮細胞の性依存的免疫応答に着目した。雄と雌のマウスを用いて、卵白アルブミン並びに水酸化アルミニウムを腹腔内投与して感作し、OVA溶液を吸入させることにより喘息モデルマウスを作成した。気管支リンパ節における樹状細胞数ならびに、樹状細胞によるTh2細胞分化誘導能の性差を評価した。主要なサブセットであるCD103+樹状細胞と CD11bhi樹状細胞の細胞数はOVA吸入後に雄よりも雌で有意に増加していた。CD103+樹状細胞のTh2細胞分化誘導能は雄よりも雌で有意に亢進しており、樹状細胞が機能的性差を有している可能性が示唆された。この結果と一致して、CD103+樹状細胞表面上の活性化マーカーの発現も雄より雌で亢進していた。肺では、IL-33などの遺伝子発現量が雄より雌において増加傾向にあり、樹状細胞の数や機能的性差との関連が示唆された。喘息モデルマウスにおける気道上皮細胞の性差の解析では、卵白アルブミン抗原吸入後の気道上皮細胞を採取し、PCR法を用いて遺伝子発現量の性差を比較した。雄のマウスより採取した気道上皮細胞は、雌のマウスより採取した気道上皮細胞と比較して、CCL2などの遺伝子発現量が増加傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画に従ってC57BL/6Jマウスを用いてOVA誘発喘息モデルマウスを作成し、雌マウスにおける樹状細胞のTh2型免疫応答の亢進を確認した。加えて、気管支リンパ節における樹状細胞のフェノタイプの解析を行った。それらの結果をさらに確かなものとするために樹状細胞欠損マウスを使用し、性特異的免疫応答を解析する予定であるが、遺伝子改変マウスの飼育繁殖が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は樹状細胞の機能的性差を誘導する気道上皮細胞の責任分子を解析することを目的としている。喘息モデルマウスでの検討に加え、ヒト細胞株ならびに臨床検体を用いた解析を実施していく予定である。「現在までの進捗状況」に記載した課題に対する対応策として、マウスの繁殖に時間を要している点を改善する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
樹状細胞欠損マウスの繁殖が予定より遅れており、当初、使用予定だったマウス飼育管理経費の一部を次年度に繰り越して使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
樹状細胞欠損マウスの飼育管理にかかる費用、ならびに遺伝子タイピングにかかる試薬の購入費用として使用する予定である。
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