研究課題
思春期以降の成人喘息の有病率や重症度は男性より女性で高いが、これまでその機序は十分解明されていない。喘息モデルマウスを用いたこれまでの検討から、喘息病態を形成するTh2細胞数とそれに伴う好酸球数が、オスよりメスマウスにおいて増加していることが明らかとなっている。さらに、Th2細胞の分化誘導を担う樹状細胞はオスよりメスマウスにおいてその数が増加しており、さらに、樹状細胞機能においても性差を有している可能性が明らかとなった。気道上皮細胞はアレルゲンに対する初期免疫応答を担い、2型自然免疫リンパ球の活性化や、Th2細胞誘導型樹状細胞の分化に重要な役割を果たしている。そこで本研究では、卵白アルブミン(OVA)による喘息モデルマウスを用いて、気道上皮細胞の性依存的機能変化に着目し、樹状細胞の性差に与える影響を解析した。OVA吸入後のメスマウスより採取した気管支肺胞洗浄液はオスマウスのそれと比較して、ナイーブマウスより採取したCD11c+細胞におけるCD86の発現を有意に亢進させた。OVA吸入後のメスマウスより採取した気道上皮細胞におけるCCL2、IL-33およびGM-CSF発現は、オスマウスのそれらと比べて有意に増加していた。さらに、In vitroの実験において、ヒト気道上皮細胞株を17β-estradiol存在下でTNF-αにより刺激したところ17β-estradiolはCCL2およびGM-CSF産生量を増加させた。これらの結果から、気道上皮細胞によるEstradiol依存的サイトカイン産生の増加が女性における樹状細胞の活性化の性差に関与している可能性が示唆された。
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