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2016 年度 実施状況報告書

性ステロイドホルモンによる非結核性抗酸菌症治療の可能性

研究課題

研究課題/領域番号 16K19618
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

上蓑 義典  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60748789)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード非結核性抗酸菌 / 感染 / エストラジオール
研究実績の概要

エストラジオール、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の性ステロイドホルモンの曝露とMycobacterium avium complex(MAC)感染の関連性を疫学的に証明するために、臨床研究を実施した。
倫理委員会承認の下、インフォームドコンセントを得た健常成人女性協力者のうち、閉経後あるいは閉経前であるが月経期間中である協力者を対象として、MAC感染時に上昇するとされる血清中の抗Glycopeptidolipid(GPL)抗体価および、エストラジオール、テストステロン、DHEA-Sを測定した。
血清抗GPL抗体陽性者群では陰性者群に比し、有意に血清エストラジオール値が低下していることを確認した。また、血清テストステロン値、血清DHEA-S値に関しては、血清抗GPL抗体陽性者群および陰性者群で有意な差を認めなかった。
以上より、MAC感染とエストラジオールの関連性が示唆された。

並行して、性ステロイドホルモンが、マクロファージ殺菌貪食能に影響を与えることにより、MAC感染に対し保護作用を示すかを検証している。MAC感染ヒトマクロファージモデルを用いて、MAC感染時におけるエストラジオール、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン曝露が、感染96 時間後の細胞内菌数を変化させるかを評価しているが、上記ホルモン曝露による細胞内菌数の変化は、現時点では確認されていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

疫学研究については、順調に進んでおり、想定された結果が得られている状況である。
マクロファージ殺菌貪食能への影響による、性ステロイドホルモンのMAC感染に対する保護作用を検討するため、MAC感染ヒトマクロファージモデルを用いた実験を行っているが、再現性のあるデータが得られておらず、条件検討に時間を要している。

今後の研究の推進方策

当該年度の研究において、MAC感染とエストラジオールの関連性が示唆されたが、抗GPL抗体陽性はMAC感染の間接的な証明に過ぎない。よってさらに、肺MAC症患者群と健常者群の血清エストラジオール値を比較し、MAC感染、肺MAC症の病態にエストラジオールが直接関連していることを証明する。そのため、患者群の検体を確保し、今後エストラジオールの測定を行っていく予定である。
また、疫学研究において、エストラジオールとMAC感染の関連性が確認されれば、今後はエストラジオールとMAC感染の関連性に着目した、MAC感染ヒトマクロファージモデルを用いた実験を行い、その作用機序を解明していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

MAC感染ヒトマクロファージモデルにおいて、性ステロイドホルモン曝露とMAC殺菌貪食の明確な関係が確認できなかったため、機序解明へすすむことができず、疫学研究においてまずは性ステロイドホルモン曝露とMAC感染症の関連を証明することを優先させた。そのため、当初細胞実験に予定していた予算について、使用額が予定より減った結果、次年度使用額が生じることとなった。

次年度使用額の使用計画

疫学研究において、患者群の性ステロイドホルモン値測定に使用する計画であるほか、疫学研究においてエストラジオールと肺MAC感染症との関連性が証明できる見込みであるため、今一度、細胞実験においてエストラジオール曝露がMAC感染に対して保護作用を示すかを確認し、さらにその機序を確認する予定である。よってそのための実験費用として使用する計画である。

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公開日: 2018-01-16  

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