研究課題/領域番号 |
16K19624
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
内田 奈生 東北大学, 大学病院, 助教 (30771670)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 尿中落下細胞 / 間葉系幹細胞 / FACS / 再生医療 / 腎臓病 |
研究実績の概要 |
IgA腎症、感染関連腎炎、ネフローゼ症候群(巣状分節性糸球体硬化症)、紫斑病性腎炎など数種類の腎疾患の患者から尿検体を提供いただき、尿中落下細胞の培養を行った。うち、ネフローゼ症候群の患者検体からは細胞の増殖が得られなかった。これは、本研究で用いている培地では、腎炎患者の尿からは細胞増殖が得られるが、健常者や非腎炎性の腎疾患の患者尿からは細胞増殖が得られなかったとする先行研究と一致する結果であった。 培養し増殖させた尿中落下細胞から幹細胞を同定するため、各種の幹細胞マーカー(SSEA-3,SSEA-4,TRA-1-81, CD133)を用いてFACSを行った。しかし、細胞群の大きさのバラつきが大きく、目的とする幹細胞マーカーの陽性率の正確な測定が困難であった。死細胞の割合が多いことを疑い、PIを用いて死細胞の検出を行ったが、死細胞の率は5%以下と低く、細胞群の広がりの理由を特定することができなかった。先行して行った実験ではSSEA-3陽性細胞が高い割合で存在したが、今回の測定ではSSEA-3陽性細胞率は極めて低く、SSEA-4陽性細胞が少数認められた。 正確な陽性率が得られるように、FACSの設定を見直し、再測定することを検討している。 2018年9月以降は産休・育休のため研究を中断した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
培養環境の違い、測定環境の違いから、その修正に時間を要している。また十分な研究時間が取れないことも、修正を遅らせている一因となっている。
2018年度後半は産休・育休のため、研究を中断した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究を再開する。 細胞培養の培地を作成しなおし、新たに患者検体を採取し培養を再開する。
FACSの問題については、初期の研究計画に記した細胞組織学講座以外に、小児科内にFACSに詳しいスタッフが着任したため、協力を得て、問題の解決に尽力する。
FACSで候補となる幹細胞マーカーが同定できたら、腎生検標本からその所在を染色にて確認する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
尿中落下細胞内の幹細胞の同定に至っておらず、その後の研究計画に大きく遅れを生じているため。また、年度後半は産休・育休のため、研究を中断していたため。 次年度から研究を再開し、培地や抗体の購入、PCRに関連した消耗品の購入、論文作成時の英文校正費、投稿費に使用する予定である。
|