研究課題
本研究は,けいれん発作や発達遅滞などの神経症状を主体とし,てんかん性脳症など神経疾患を疑う症例に対して全エクソン解析を施行した。まず,けいれん重積をきたし,頭部画像から急性脳症が疑われた症例において,CPT2遺伝子(NM_000098)の遺伝子多型を検出した。c.1055T>G (p.F352C)をヘテロ接合性で,c.1102G>A (p.V368I)をホモ接合性で有しており,本多型の組み合わせはCPT2活性が低下し,急性脳症を発症する危険因子として報告されていた。発熱により同様の症状を誘発する可能性が示唆され、今後の疾病管理に有用な情報を得ることができた。また共同研究により,周期的に脱力発作を来たし,知的障害を有する男児例に対して全エクソン解析を施行し,HECW2遺伝子に新生突然変異 c.4511C>T (p.Ser1504Phe)を同定した。HECW2は神経発達に重要な役割を担っており,知的障害,筋緊張低下やてんかんの症例において変異が報告されていた。本症例はてんかんとは異なる周期的脱力発作が特徴的であり,HECW2遺伝子変異の新たな表現型として重要な所見と考えられた。本研究は次世代シーケンサーによる全エクソン解析を臨床現場で活用するため,迅速に解析を行う体制構築が目的であるが,結果出力まで2週間程度を要しており,期間短縮が今後の課題である。また,てんかん性脳症に対するARX遺伝子の直接シーケンスを継続して行っており,計44例に施行したが変異は同定されなかった。
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Cell Rep
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10.1016/j.celrep.2017.12.074.
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