研究課題/領域番号 |
16K19627
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
加藤 愛章 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90635608)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心磁図 / 川崎病 / 冠動脈病変 / 心筋虚血 / 電流ベクトル |
研究実績の概要 |
【方法】前年度に引き続き、川崎病性冠動脈病変があり長期フォローされている症例の解析を進めた。合計9名(中央値18歳、範囲4~32歳)を対象とし、12誘導心電図と心磁図検査を施行した。筑波大学附属病院内の磁気シールドルーム内に設置されている64チャネルの心磁計測装置を用い、ベッド上で体位変換し磁気センサーを近づけることで、正面・側面・背面の3方向での磁気計測を行った。得られた心磁波形を、信号処理でノイズ除去し、R波を基準として各チャネルでの加算波形を作成した。それぞれのチャネルの位置情報と磁場強度とを統合し、QRSおよびT波の電流アロー図を作成した。正面のT波の最大および平均の電流の角度から、基準値から外れた項目数をスコア化し、再分極異常スコアとして算出した。また正面・側面・背面の3方向の平均および最大のベクトル成分についてベクトル環を作成した。QRSとT波の電流を時間積分し、総電流量の比を算出した。【結果】冠動脈病変のある症例では12誘導心電図で明らかな異常があったのは2例で、V1でのQSパターンとII, aVFでのlow Tであった。QRSの主ベクトルは全例で左~左下方に向かい基準範囲内であった。再分極異常スコアは2例で1点以上となり、それぞれ最大電流角度が低値、および平均電流角度差が小さく、それらの症例は心電図異常を有する症例とは一致しなかった。T波のベクトル環は正面では全例で左下方で、側面では3例で前方であった。T波とQRSの電流総和の比は中央値1.61(範囲1.06~2.70)で、全例で基準値内であった。【結論】心磁図検査で、再分極スコア、T波ベクトル環で基準値と異なる所見を示す症例があったが、必ずしもそれぞれの異常所見を持つ症例が一致しなかった。心磁図のみでの心筋虚血の発見は現段階では判断が難しく、他のモダリティも含めて同時に検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以前に確立された再分極異常スコアが冠動脈病変を持つ症例での心筋虚血の初期変化の検出に有効である、という前提で研究を進めていたが、今回の検証で明らかに異常のある症例でもスコアで異常とはならないことが判明した。また、冠動脈異常があっても、必ずしも心筋虚血とはならず、心電図や心磁図でも基準値内である可能性がある。心筋虚血があると判明している症例も含めて検討する必要がある。心筋虚血が明らかな症例については、現段階では十分な数が確保できていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、心筋虚血が他のモダリティでも証明されている症例についての心磁図検査を行う。筑波大学の症例のみでは十分に検討できないため、他施設で診断された症例にも対象範囲を広げて検討を行う。茨城県内に限らず、全国の施設に依頼する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたデジタル心電計による記録が機器に支障があり実施できていない。デジタル心電計用の生体アンプを購入予定であったが、現在使用を再開できるめどが立っていないため、購入を見合わせている。 施設の方針の違いなどにより、液体ヘリウムなどを含めた研究に必要なコストが前年度以上に高くなることが想定されている。 デジタル心電計が使用できるようになった時点で生体アンプを購入する。液体ヘリウムなどの心磁図機器を運用するための費用に充てる。
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