【方法】冠動脈造影で川崎病性冠動脈病変が確認されている63例(男性50例)の臨床経過および心磁図検査所見の解析を行った。川崎病発症年齢は中央値2.4歳(0.2~12.0歳)、心磁図検査施行時年齢は中央値19.1歳(3.6~39.3歳)であった。筑波大学および国立循環器病研究センター内の磁気シールドルーム内に設置されている64チャネルの心磁計測装置を用いて、正面および背面での磁気計測を行った。QRSおよびT波の電流アロー図および最大のベクトル成分についてベクトル環を作成した。正面のT波の最大および平均の電流角度から基準値からから外れた項目の数を再分極異常スコア(0~6点)として算出し、スコアが1以上と1未満で比較した。QRSとT波の電流を時間積分し、総電流量の比を算出した。冠動脈造影の結果から狭窄性病変群(心筋梗塞、閉塞、セグメント狭窄、局所性狭窄)と非狭窄性病変群(狭窄性病変を有さない症例)の2群に分けて各パラメータについて検討した。【結果】狭窄病変群が37例、非狭窄病変群が25例であった。狭窄性病変群の方が、有意に発症年齢が小さかった(p = 0.025)。QRSの最大ベクトル角度、総電流比については2群間で有意な差はなかったが、再分極異常スコアは2群間で有意差があり(p = 0.019)、狭窄病変群では平均2.51(±1.68)と高値であった。再分極異常スコアが1以上か、1未満であるかも2群間で有意差があった(p = 0.042)。再分極異常スコア1以上は狭窄性病変の感度89%、特異度32%、陽性的中率66%であった。【結論】狭窄性病変を有する症例の検出において、心磁図での再分極異常スコアが有用である可能性がある。
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