研究課題
既に作成した女性ダノン病患者Tリンパ球より樹立したiPS細胞より、正常LAMP2mRNAを発現するクローン(WT)、異常LAMP2mRNAを発現するクローン(MT)のクローニングを行い、心筋分化させることに成功した。 分化心筋に対するLAMP2の免疫染色ではWTから作成した分化心筋(WT-iPSC-CMs)に対してはLAMP2の染色が認められたが、MTから作成した分化心筋(MT-iPSC-CMs)に対してはLAMP2蛋白の発現が認められなかった。ジストロフィン染色も行ったが、光学顕微鏡での観察においては差異を 認めなかった。 表現型としては、透過電子顕微鏡での観察においてMT-iPSC-CMsではその心筋細胞内に自己貪食空胞の存在が確認さ れた。また、バキュロウイルスを用いたtandem fluorescent LC3 assayを行い、MT-iPSC-CMsにおいてはファゴソームにライソソームが結合し、オートライソソームとなる過程での成熟不全が認められることを確認した。更にLC3に対するwestern blotでは、通常状態でのLC3-II分画の増加がMT-iPSC-CMsにおいては認められており、相対的にプロテアーゼインヒビタ ーを使用しても、LC3-II分画の増加が認められないことを確認した。フローサイトによる死細胞の量も確認したが、本実験系においてはLAMP2の異常の有無による死細胞の量の変化は認められなかった。以上の差異について、ヒトアンドロゲンレセプター抗体のCAGリピートを用い、X染色体の不活化の差異が反映されているということを証明した。本研究はJ Mol Cell Cardiol. 2018 Jan;114:234-242. doi: 10.1016/j.yjmcc.2017.11.019.に発表された。
3: やや遅れている
CRISPR/Cas9システムによるXISTのノックアウトを行ったiPS細胞のクローンが樹立できない。siRNAでのノックダウンに関してはまだ行えていない。
siRNAによるノックダウンは一時的なものであり、表現型の再現が困難な可能性が示唆されるため、CRISPR/Cas9でのノックダウンを継続する。今までの研究成果に関しては海外学会で発表を予定している。
海外学会での発表を予定していたが、本年度は発表の機会がなかった。次年度に予定する。
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Journal of Molecular and Cellular Cardiology
巻: 114 ページ: 234-242
10.1016/j.yjmcc.2017.11.019.