1)ピロカルピン誘発性側頭葉てんかんモデルマウスのてんかん機構の解明:本モデルマウスにおいて、けいれん重積後初期に活性化するミクログリアの活性化を薬理学的に抑制することで、けいれん重積4週間後に起こるけいれん閾値の低下が予防できることに加えて、アストロサイトの活性化も抑制されていることを見出し、計画を一部変更し、ミクログリアの活性化が引き起こす活性化アストロサイトの機能解析も行った。 2-1)薬剤による抑制前後での活性化ミクログリアの表現型解析:けいれん重積誘発後に、ミクログリアをCSFR1阻害剤で抑制することで、前年度に行ったミノサイクリンによる薬理学的抑制と同様に、神経障害性ミクログリアが産生していると考えられる、TNF-αの発現が低下していることをqRT-PCR法で確認した。 2-2)てんかん原生獲得期の活性化アストロサイトの解析:てんかん原生を獲得したけいれん重積誘発4週間後のアストロサイトにおいては、GFAPを用いた免疫染色で、形態的な活性化(アストログリオーシス)が起こるが、CSFR1阻害剤で薬理学的にミクログリアの活性化を抑制した場合、前年度に行ったミノサイクリンによる薬理学的抑制と同様に、このアストロサイトの活性化が抑制されることを見出した。また、てんかん原生を獲得したけいれん重積誘発4週間後のアストロサイトにおいては、海馬スライス標本を用いたCa2+イメージング法によって、IP3受容体依存的なCa活動が亢進している可能性を見出した。
|