研究課題
アスパラギン合成酵素欠損症は、アスパラギン合成酵素(ASNS)の欠乏により先天性小頭症、難治性のてんかん、精神運動発達遅滞などを呈する。しかし、まだ新しい疾患であるためその病態や治療法などはよく分かっておらず、遺伝子診断を行う以外には診断スクリーニング法はない。本研究では、アスパラギン合成酵素欠損症の診断スクリーニング法と治療法の開発を目的としている。研究初年度においては、我々の報告した4つの新規変異について発現ベクターを構築し、培養細胞に導入してASNSタンパクの発現実験を行い、Western blot法を用いてその発現を確認した。シクロヘキシミドによる安定性比較試験を行ったところ、変異体と野生型の間には有意な差は認められなかった。また、変異ASNSのアスパラギン合成能を評価する目的でアスパラギンの定量を行ったが、十分にアスパラギンの定量を行うことはできず、培養細胞の内在性タンパクが影響している可能性が考えられ、最終年度も引き続き検討を行った。また、患者皮膚繊維芽細胞を樹立し、アスパラギンの添加の有無で線維芽細胞の増殖の変化を観察した。アスパラギンを添加してない培地では線維芽細胞の増殖が見られなかったが、アスパラギンを添加すると細胞増殖が見られた。疾患患者由来の細胞の増殖にはアスパラギンが必須であり、アスパラギンの投与が治療法としても示唆される。これを応用してリンパ球を用いた迅速な診断スクリーニングのアッセイ系の構築を検討中である。
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