研究課題/領域番号 |
16K19643
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石森 真吾 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (30465950)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | レニンアンギオテンシン系 / 先天性腎尿路奇形 / 慢性腎臓病 |
研究実績の概要 |
先天性腎尿路奇形(水腎症、膀胱尿管逆流症、多嚢胞性異形成腎など)の患者の診断時の血液検体を用い、循環レニン・アンギオテンシン系の評価項目である血中レニン活性・アンギオテンシン濃度を測定したが、各疾患と血中レニン活性・アンギオテンシン濃度との相関は認めなかった。また各疾患の診断時の腎機能(血清クレアチニンやシスタチンC)、尿所見の有無(尿潜血、尿蛋白や尿細管性蛋白)を評価し血中レニン活性・アンギオテンシン濃度との関連を検討したが、相関は認めなかった。さらに各疾患の慢性腎臓病進展の有無を評価(すなわち患者の血液検体を用い、血清クレアチニンやシスタチンCを測定、尿検体を用いて尿潜血、尿蛋白や尿細管性蛋白)した。慢性腎臓病の診断に至るものは一部であったが血中レニン活性・アンギオテンシン濃度との相関は認めなかった。次に、循環レニン・アンギオテンシン系の評価各疾患および先とは別に、先天性腎尿路奇形を有しない正常児における尿検体を用い、局所レニン・アンギオテンシン系の評価項目である尿中アンギオテンシノーゲン濃度を測定した。その結果、正常児比較して、多嚢胞性異形成腎のみが群が尿中アンギオテンシノーゲン濃度が有意に高地であった。多嚢胞性異形成腎の病態に局所レニン・アンギオテンシン系が関連するのか、機能的片側人であることが関係するのかを検証すべく、片側腎症例における尿中アンギオテンシノーゲン濃度を検討していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
尿中アンギオテンシノーゲンを測定するには同一条件での測定が望ましい。これまでに複数検体の測定を行っているが、今後の測定にあたってはある一定数の症例を収集した後に測定していく予定である。次に尿中アンギオテンシノーゲンと血中レニン活性・アンギオテンシン濃度の関連を検討し、その後尿中落下細胞から尿細管上皮細胞を培養する予定であるため、いまだに実際の培養作成には至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
先天性腎尿路奇形のうち、これまでに尿中アンギオテンシノーゲンを検討していない疾患(片腎や重複腎盂尿管、単純性腎嚢胞、多発性嚢胞腎、馬蹄腎、低形成腎など)について測定をしていく。さらに各種先天性腎尿路奇形患者の尿中落下細胞から尿細管上皮細胞培養採取し免疫染色・ウエスタンブロット法を行い、レニン・アンギオテンシン系関連遺伝子と間質線維化マーカーの発現の関連を解析する。患者由来の培養尿細管上皮細胞を用いたレニン・アンギオテンシン系関連蛋白地活性酸素関連因子、ミトコンドリア障害関連因子、間質線維化促進因子との関連について、リアルタイム定量PCRを行い、それぞれの挿管を解析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より、検体数が集まらず、検体の測定費用が安価で済んだため繰越金額が生じた。先天性腎尿路奇形のうち、これまでに尿中アンギオテンシノーゲンを検討していない疾患(片腎や重複腎盂尿管、単純性腎嚢胞、多発性嚢胞腎、馬蹄腎、低形成腎など)について診断時並びに経過中に尿中アンギオテンシノーゲン値を測定する予定である。尿中落下細胞から尿細管上皮細胞を培養採取し、免疫染色・ウエスタンブロット法を行い、レニン・アンギオテンシン系関連遺伝子と間質線維化マーカーの発現の関連を解析する予定である。
|