先天性腎尿路奇形(水腎症、膀胱尿管逆流症、多嚢胞性異形成腎など)の患者の診断時の血液検体を用い、循環レニン・アンギオテンシン系の評価項目である血中レニン活性・アンギオテンシン濃度を測定したが、各疾患と血中レニン活性・アンギオテンシン濃度との相関は認めなかった。また各疾患の診断時の腎機能(血清クレアチニンやシスタチンC)、尿所見の有無(尿潜血、尿蛋白や尿細管性蛋白)を評価し血中レニン活性・アンギオテンシン濃度との関連を検討したが、相関は認めなかった。さらに各疾患の慢性腎臓病進展の有無を評価(すなわち患者の血液検体を用い、血清クレアチニンやシスタチンCを測定、尿検体を用 いて尿潜血、尿蛋白や尿細管性蛋白)した。慢性腎臓病の診断に至るものは一部であったが血中レニン活性・アンギオテンシン濃度との相関は認めなかった。先天性腎尿路奇形を有しない正常児における尿検体を用い、循環レニン・アンギオテンシン系とは別に、局所レニン・アンギオテンシン系の評価項目である尿中アンギオテンシノーゲン濃度を測定した。その結果、正常児比較して、多嚢胞性異形成腎のみが群が尿中アンギオテンシノーゲン濃度が有意に高値であった。片側腎症例と多嚢胞性異形成腎において尿中アンギオテンシノーゲン濃度を比較すると多嚢胞性異形成腎例が高値であったが有意な差はなかった。サンプル数が少ない可能性もあり、より多数例での検討を考慮していく予定としている。
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