研究実績の概要 |
小児リウマチ性疾患における各種酸化ストレスマーカー(TRX,HMGB-1,d-ROMs,8OHdG)の測定系の確立を行った。TRXはTRX ELISA Kit(レドックスバイオサイ エンス社、京都)を用いた。HMGB-1はHMGB1 ELISA KitII(シノテスト、神奈川)を用いた。d-ROMsはFREE(Diacron International, Grosseto, Italy)を用いた。8-OHdGはNew 8-OHdG Check(日本老化制御研究所、JaICA、静岡)を用いた。既存の炎症マーカーとしてCRP,血清アミロイドA,プロカルシトニン,ferritinに 加えて、各種炎症性サイトカインを測定した。炎症性サイトカインはMILLIPLEX Kit(MILLIPORE社)を用いてLuminex200/MAGPIX system(MILLIPORE社)でIL- 6、IL-18、TNFαなど3-29種類の項目を測定した。複数の疾患(全身型若年性特発性関節炎、若年性皮膚筋炎、混合性結合組織病ほか)の検体を用いて上記マーカーを測定し測定系が確立できたことを確認した。細胞内に存在するTRXは軽度の溶血でも血清中に上昇する事が確認された。関節型JIAにおいてTRXはCRPの上昇後に低下する傾向を示し、フェリチンと同様の推移を示した。d-ROMsはTRX同様にフェリチンと同様の推移を示した。いずれもマーカーもMMP3との強い相関は認めなかった。TRXやd-ROMsなどの酸化ストレスマーカーは関節滑膜炎といった局所の炎症よりも全身炎症と相関していると考えられた。HMGB-1は症例ごとに測定項目に変動があり、各症例ごとの細胞障害及び全身炎症の程度に相関すると考えた。本研究の検討中に、小児リウマチ性疾患を含めた小児のさまざまな慢性および急性炎症性疾患のバイオマーカーの検討を行った。原因不明の中枢神経炎症疾患であるけいれん重積型急性脳症の予後予測にプロカルシトニンが有用であることが判明したため報告を行った。
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