研究課題/領域番号 |
16K19648
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
杉本 真弓 徳島大学, 病院, 特任助教 (20771314)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経口免疫療法 / 抗原特異的免疫グロブリン |
研究実績の概要 |
本研究は、遷延する食物アレルギー児に対する経口免疫療法の治療前後における、患者血清中の抗原特異的免疫グロブリン各アイソザイムの産生パターンならびに抗原親和性の変化を解析することで、それらの変化の意義ならびに経口免疫療法の奏功機序の解明を目的としたものである。本研究での抗原特異的免疫グロブリン測定に使用するDCPチップは、微量検体で抗原特異的免疫グロブリンの測定が可能であることと、検出感度に優れるため、アレルゲンに対する低親和性抗体の検出が可能であることを特徴とする。本年度は、鶏卵経口負荷試験で陽性であった3歳以上の鶏卵アレルギー患者のうち、本研究の対象となる患者の選別を行い、同意を得た患者に対して鶏卵経口免疫療法を実施した。治療前後における検体(血清)の採取ならびに保存を行った。 また、本研究に先行して実施していた鶏卵経口免疫療法における、DCPチップを用いた抗原特異的免疫グロブリンの経時変化に関する解析結果をまとめ、「Differential response in allergen-specific IgE, IgGs, and IgA levels for predicting outcome of oral immunotherapy」として、Pediatric Allergy and Immunology にて論文発表した。 さらに初年度の活動として、経口免疫療法や経皮免疫療法といった食物アレルギーに対する各種免疫療法や、免疫グロブリンのクラススイッチ等、本研究に関連する内容について関連学会での情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象者に対する鶏卵経口免疫療法ならびに検体採取は実施できている。しかし、治療を継続中で予定の観察期間を完了しておらず、予定の検体採取が完了していない症例が一部存在する。そのため、平成28年度に実施予定であった、DCPチップを用いた抗原特異的免疫グロブリン各アイソタイプの産生パターンの解析は、検体採取が完了する平成29年度に一括して測定を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度に実施予定であった抗原特異的免疫グロブリン各アイソタイプの産生パターンの解析をDCPチップを用いて実施する。また、従来の計画通り、オボムコイド競合阻害法とジエチルアミン添加の2つの方法を用いて抗原特異的免疫グロブリンの親和性変化の解析も実施する予定である。 さらに、抗原特異的免疫グロブリンの抗原親和性と経口免疫療法の治療効果との関連についても検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
経口免疫療法の予定の観察期間を完了しておらず、検体採取が完了していない症例がある。対象者の検体を一度に測定することで測定日や測定条件による誤差をなくすため、平成28年度に実施予定であった経口免疫療法の治療前から維持期12ヶ月までの抗原特異的免疫グロブリン各アイソタイプの産生パターンの解析は、検体採取が完了する平成29年度に一括して実施することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、平成28年度に実施予定であった抗原特異的免疫グロブリン各アイソタイプの産生パターンの解析ならびに、当初の計画通りに抗原特異的免疫グロブリンの親和性変化の解析を実施する。それらに使用する試薬(DCPチップ、抗原、抗体を含む)の購入に経費を使用する予定である。また、その成果を発表、公表するために経費を使用する予定である。
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