研究課題/領域番号 |
16K19654
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
梶原 隆太郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (00738221)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | GM1ガングリオシドーシス |
研究実績の概要 |
本研究は、GM1ガングリオシドーシス患者iPS細胞を用いて発見した新規治療薬候補の有効性を、本患者ニューロンを用いたin vitro系、および本疾患モデルマウス(BKOマウス)を用いたin vivo系によって評価するものである。 まずin vivo系においては、BKOマウスに新規治療薬候補化合物を7日間腹腔内投与後、脳をサンプリングし、ガングリオシドを抽出、LC-MSを用いて定量した。投与したマウス群は、コントロールのマウス群に比べ、有意なGM1ガングリオシド量の減少がみられた。このことから、我々が発見した候補化合物は、マウスの血液脳関門を通過し、脳内に過剰に蓄積したGM1ガングリオシド量を低下させることが分かった。 次に、FM1-43を用いた患者ニューロンのシナプス前終末の機能に候補化合物が影響するかを調べた。患者iPS細胞から神経幹細胞まで分化させ、さらにこれらの細胞をニューロンまで誘導させる。ニューロンまで分化させる際、候補化合物を添加しながら分化誘導させるものと、添加せずに誘導するものと分け、60日間培養した。その後、FM1-43で処理し、シナプス前終末の機能を解析した。その結果、化合物未処理の患者ニューロンは健常者ニューロンに比べ開口放出能が低下しているが、化合物処理を行った者ニューロンは健常者ニューロンと同等までシナプス前終末の機能が回復していた。このことから、我々が発見した候補化合物は、患者ニューロンの機能までも回復させることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度は熊本地震が発生し、研究再開まで時間がかかってしまったが、再開後は順調に計画通りの研究を行うことができた。また、候補化合物が本患者ニューロンを用いたin vitro系、および本疾患モデルマウス(BKOマウス)を用いたin vivo系、いずれの実験系においても有効性を示し、本疾患の新規治療薬開発につながる発見ができた。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、我々が発見した候補化合物の詳しい作用メカニズムは分かっていない。今後は、遺伝子レベルの解析で、化合物の作用点を見つけ出し、化合物の安全性評価や、本疾患の病態解析につなげていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を計画していた遠心濃縮装置(Thermo SCIENTIFIC, SPD111V-115、600 千円)を代替することができる機器が、申請者が研究を行っている研究所の共通機器として使用可能となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の遺伝子の網羅的解析に充てる予定である。
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