研究実績の概要 |
ドナーとしてBALB/c マウス(H-2d,I-Ad)、レシピエントとしてC57BL/6(B6)マウス(H-2b,I-Ab)を使用し、レシピエントマウスにドナーマウスの骨髄細胞と脾臓細胞を移植することで致死的急性移植片対宿主病(GVHD) を誘導した。CCL8が発現する細胞による移植アウトカムへの影響を調べるため、上記野生型同士の移植群と、(1)ドナーがBALB/c 野生型(WT)マウスでレシピエントがB6-CCL8ノックアウト(CCL8KO) マウスの移植群、(2)ドナーがBALB/c-CCL8KOマウスでレシピエントがB6-WTマウスの移植群、(3)ドナーがBALB/c-CCL8KOマウスでレシピエントがB6-CCL8KOマウスの移植群のアウトカムをそれぞれ比較した。 結果、レシピエントでCCL8の発現がない(1)の移植群で生存が改善するだけではなく、ドナー造血細胞のCCL8発現がない(2)の移植群でも生存が改善していた。(2)の移植群での血漿CCL8解析結果、移植後血漿CCL8産生の増加を認めた。しかし、血漿CCL8値上昇の程度は(1)の移植群より縮小していた。しかし、ドナー造血細胞・レシピエントの細胞でともにCCL8発現のない(3)の移植群は移植後早期に死亡し、生存率の改善は得られなかった。(3)の移植群においても、死亡時にサンプリングした骨髄では造血が認められた。(1)-(3)のいずれの移植群においても、野生型同士の移植群と比較して、移植後の体重変化、末梢血白血球数の上昇に有意差はなく、clinical scoreのみ(1)の移植群で改善していた。今後、急性GVHD標的臓器での移植後臓器障害の程度、急性GVHD所見、CCL8発現の評価が必要と考え、その実験を計画中である。
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