研究課題/領域番号 |
16K19660
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
篠原 務 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (50745932)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肺動脈性肺高血圧 / Sugen/Hypoxia ラットモデル / 繊維性内膜肥厚 |
研究実績の概要 |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)における治療薬の抵抗性に対して、新たな治療ターゲットが求められている。私たちはこれまでに、ヒトの病理組織に類似した肺高血圧動物モデル (Sugen/Hypoxia ラットモデル)を用いて、肺血管閉塞病変の進行例に対するエンドセリン受容体拮抗薬マシテンタンの治療抵抗性のメカニズムを示すと同時に、治療抵抗性の原因の一つである線維性内膜肥厚病変に対する発現予防効果を世界に先駆けて報告した。しかし線維化発現の機序、線維化に対する治療ターゲットを解明するという課題を残した。本研究において、Sugen/Hypoxiaラットモデルの肺全体の検討では線維化に関わる遺伝子Fibronectin1が有意に亢進しており、マシテンタン予防投与によりその発現が抑制され、線維性内膜肥厚病変の数と内膜線維面積ともに有意に抑制されていた。今後は、同動物モデルを用いて顕微鏡下にレーザーマイクロダイセクション法により、細胞増殖性から線維性へと経時的に発現する閉塞性肺血管病変のみを採取することで、マイクロアレイを用いて新生内膜形成から線維化に関わる遺伝子群を新規に同定し、治療抵抗例に対する新たな治療ターゲットを解明したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肺高血圧モデルにおいて微細な閉塞性血管病変のみを採取することに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
肺血管のマイクロダイセクション、mRNA抽出、マイクロアレイを用いて線維化に関わる遺伝子群を新規に同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者である私の臨床の業務の多忙と、予定していた肺高血圧モデルラットの肺細動脈のみを抽出することに想定以上の時間を要しており、研究計画が遅れたため繰越が生じた。今後、病理医や肺動脈性肺高血圧基礎研究に精通した先生方へ助言を仰ぎ、肺細動脈のマイクロダイセクションやmRNA抽出、マイクロアレイに研究費を使用する。
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