研究課題
【背景】肺動脈性肺高血圧症における治療薬の抵抗性に対して、新たな治療ターゲットが社会的に求められている。本研究では、細胞増殖性から線維性へと経時的に発現する閉塞性血管病変の線維化に関わる遺伝子群を新規に同定し、治療抵抗例に対する新たな治療ターゲットを解明したい。【方法】7週雄Sprague-Dawley ラットに血管内皮成長因子阻害剤(Sugen5416)を単回皮下注射した後、3週間低酸素チャンバー内で飼育し、以後は大気中で管理してSugen/Hypoxiaラットモデルを作成した。Sugen投与後5週と8週で、ラットを安楽死させ、肺組織を固定し、組織切片をマッソンエラスティカファンギソン染色により細胞性血管閉塞病変と線維性血管閉塞病変を同定した。さらに、real-time PCR 法を用いて、遺伝子発現量の解析を行った。【結果と今後の展望】新生内膜線維性閉塞病変の発現率は、Sugen投与後5週で0.5±0.3%、Sugen投与後8週で5.5±2.1%と有意に増加し(p<0.05 vs 5週PH群)、また閉塞血管面積に対する新生内膜の線維化面積率は、Sugen投与後5週で6.1士0.9%、Sugen投与後8週で14.9±0.5%と有意に増加した(p<0.05 vs 5週PH群)。一方、肺組織の線維化に関わるfibronectin1遺伝子発現はSugen投与後8週で1.48±0.08倍(p<0.05 vs 正常対照群)、collagen1の遺伝子発現は1.50±1.0倍(p<0.05 vs 正常対照群)に有意に増加し、血管線維化と関連を示した。今後はfibronectin1やcollagen1の発現メカニズムを解明していきたい。
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