肥満や2型糖尿病など「生活習慣病」と診断される小児は増加している。小児期に生活習慣病を発症した症例は将来心筋梗塞・脳梗塞・脳出血などを高率に合併するため、その予防策や効果的治療は早急に検討されるべき課題である。生活習慣病にはある程度の家族 集積性が認められ、多因子遺伝や食習慣をはじめとした生活環境が要因となる。そして最近になり、腸内細菌叢と生活習慣病発症の関係についての研究報告が散見されるようになってきた。本研究のテーマである、小児肥満リスク予測因子としての日齢0から3歳までの腸内細菌叢解析は、生活習慣病の予防・早期治療に役立つ可能性があり、将来の生活習慣病患者の減少に貢献しうる研究であると考える。 現在、当院で出生した新生児を対象とし、日齢0から3歳時に至るまでの身体計測・腸内細菌叢解析・希望者では血液検査を行っている。腸内細菌叢は、分娩方法(経膣分娩・帝王切開)、周産期および乳幼児期の抗菌薬投与の有無、栄養方法(母乳・人口乳、離乳食の進み方)、家族歴(肥満の家族の有無)、乳幼児期の既往歴などにより影響を受ける可能性がある。そこでこれらの因子がどの程度、どのように腸内細菌叢に影響を与えるかについても考察する。現在対象児102名を経過観察中である。drop out症例は5例で、ほぼ目標通りの症例数を集められている。現時点で明らかな肥満を呈する対象者はなく、腸内細菌叢解析を進めている段階である。
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